ネパールでの取り組み


2026年の後発開発途上国卒業を目前に控えるネパールでは、経済成長とともに、国内に残る社会的・経済的格差の是正が喫緊の課題となっています。中でも、これまで開発の恩恵が十分に行き届かなかった山間部やへき地に暮らす人々、社会的に脆弱な立場にある女性や子ども、少数民族や低カースト層の人々に対する支援の必要性は、一層高まっています。誰一人取り残さない社会の実現に向け、地域や人々の状況に寄り添った、きめ細やかな活動が求められています。

面積:14.7万㎢ (北海道の約1.8倍)
人口:1,969万人 (2023年/世界銀行)
公用語:ネパール語
1 人あたりのGNI:1,430米ドル (2023年/世界銀行)
5 歳未満児死亡率:27人 (出生1,000人あたり、2022年/WHO)
妊産婦死亡率:142人 (出生10万人あたり、2023年/WHO)

青年リーダーたちと取り組む「稼ぐための農業」推進プロジェクト(2024年3月-現在)


 
【目的】
販売を前提とした農業生産活動の定着
 
【主な活動】
リーダーファーマーの育成、農家グループセミナーの開催、セクター関係者会合の開催、技術研修(換金作物栽培、加工技術)、加工資機材供与、市場調査・開拓支援、共同出荷体制の構築支援、本邦研修、など
 
【活動レポート】
2024年7月:ネパールで取り組む「稼ぐための農業」
 
【事業地】ゴルカ郡2地区
2015年ネパール大地震の震央だったゴルカ郡内の2 地区。98%の農家が急峻な斜面にある雑穀畑で農業を営んでいるが、多くが生計を維持できず、自給農業では食べていけない期間が半年以上に及ぶ世帯は64%にものぼる。少数民族や低カースト層ら社会的・経済的弱者が全人口の75%を占める。
 
※本事業は、JICA草の根技術協力事業(草の根パートナー型)として取り組んでいます。

殺菌剤の塗布方法をアドバイス
専門家によるコーヒー加工技術指導
ネパール極西部へき地集落における安全な妊娠・出産促進事業(2023年3月-現在)

 
【目的】
安全な妊娠と出産の促進
 
【主な活動】
分娩可能な公的保健医療施設の建設と資機材の供与、助産師研修の開催、エコー検査技術研修の開催、へき地集落でのエコー検診キャンプの実施、保健ボランティアの能力強化、地域啓発活動の実施、青少年対象のリプロダクティブヘルス教育の実施、など
 
【活動レポート】
2025年5月:おかやまからの想いをネパールへ 〜「AMDA基金」贈呈式
2024年12月:沈黙からの解放~健康な地域社会への一歩
2024年5月:「おかやまコープAMDA基金」からの支援贈呈式(同社公式サイトへ移動します)
2023年11月:ハプニングの連続!?へき地集落での建設作業に密着!
2023年4月:灯台下の暗やみに、あかりを灯す
 
【活動地】カイラリ郡チュレ地区
「灯台下の暗やみ」と揶揄されるほど、開発から取り残されている地域の一つ。公的保健医療サービスへのアクセスが非常に困難で、2021年には出産506件中、妊産婦死亡が6件、新生児死亡が13件もあるなど、女性の安全な妊娠と出産が脅かされている。
 
※本事業は、日本国外務省からの資金協力(日本NGO連携無償資金協力)に加え、公益財団法人森村豊明会、立正佼成会一食平和基金、テルモ生命科学振興財団からの助成に加え、株式会社オカイ・メディカル・ファーマシー、生活協同組合おかやまコープ「AMDA基金」ほか、皆様からのご寄付により活動を実施しています。
地域啓発活動の様子
赤ちゃんキットの提供
受益者の声(ゴルカ郡サヒッドラカン地区 リーダーファーマー クリシュナ・タパさん)
私は18年間、武装警察部隊に勤めました。退職後、生まれ育った村に戻り、農業で生計を立てていこうと決め、プロジェクトに参加しています。家の庭には、父が20年ほど前に植えたコーヒーの木が3本残っていましたが、スタッフが教えてくれるまで、その赤い実が売れるものだとは知りませんでした。プロジェクトの支援を受け、自分の畑に200本のコーヒーを植えました。スタッフの皆さんは、生育管理の方法や病害虫への対応など、とても丁寧に教えてくれるので心強いです。より良い収入を求めて海外へ出稼ぎに行った息子に、「コーヒー栽培で稼げるようにしておくから、しんどくなったらいつでも村に帰って来いよ」と言えるようになりたい。やっぱり、父や祖父が守ってきたこの土地、この村が、自分たちにとって、なによりの財産なのだと、農業を始めてから改めて実感しました。
クリシュナさん
スタッフ紹介(総務・会計担当 アヌジャ・シャルマ)
アムダマインズでの仕事は、私の人生にとってかけがえのない経験となっています。最初は「仕事」として始めたこの道ですが、今では、自分自身の成長や生きがいを感じられる、大切な居場所となりました。
これまで、調整や報告業務、技術的な支援など、さまざまな役割に取り組む中で、専門的なスキルだけでなく、柔軟な考え方や人との信頼関係の大切さを学んできました。限られた資源や変化の激しい環境のなかで、工夫しながら日々の仕事に向き合うことは、私の価値観や人としてのあり方にも大きな影響を与えてくれています。なにより、自分の仕事が誰かの暮らしの改善につながっていると実感できることが、毎日の原動力です。ネパールでの活動を応援してくださっている皆さまに、心より感謝申し上げます。皆さまの温かなご支援と励ましが、私たちの大きな力になっています。
アヌジャ・シャルマ
ネパールスタッフブログ
最新のブログ
茶色くなる前のコーヒー豆のおはなし」(2025年7月 小林麻衣子)

ネパールの山あいの村で出会った、まだ茶色くなる前のコーヒー豆。村人たちと共に始めた「種からカップまで」の挑戦は、10年の時を経て、今、確かな実りを迎えています。

2022年11月には、人の背丈を超えるほど大きくなりました。

バックナンバー
初のネパールは発見の連続!」 2024年7月 熊代智恵
ウプレティ家の台所から:晩ごはんの準備がめんどくさい日のチキンカレー」 2023年6月 小林麻衣子
ネパールでの暮らし、第2幕のはじまり」 2022年9月 小林麻衣子
ネパール駐在を終え、明日香村で思いを巡らす」 2021年12月 奥田鹿恵子
ネパールの「お茶の時間」のいま、そしてこれから」 2021年8月 小林麻衣子
コロナ禍での経済成長の明暗はいかに…」 2020年12月 奥田鹿恵子
ロックダウンから2ヶ月」 2020年5月 奥田鹿恵子
インターン通信①」「インターン通信②」「インターン通信③」 2020年1~2月 川口美子
ヒマラヤへの想い」 2019年12月 田中一弘
ウンのつく暮らし~犬と牛と時々猫」 2019年11月 奥田鹿恵子
変わるネパール、変わらないネパール」 2019年9月 松本千穂
ばぁばとじぃじと、時々、オトン」 2019年6月 竹久佳恵
私がネパールで仕事を続けているわけ~4回目の4月25日によせて~」 2019年5月 小林麻衣子
子どもの頃の遊びに思いを馳せて」 2018年12月 奥田鹿恵子
サウン月とメヘンディ」 2018年8月 小林麻衣子
インターン通信①」「インターン通信②」「インターン通信③」 2018年5~7月 大津璃紗
民族衣装デビューしました!」 2018年4月 奥田鹿恵子

過去のプロジェクト

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(2025年9月更新)