ホンジュラスでの取り組み

ホンジュラス共和国は、北はカリブ海、南は太平洋に面し、国土の約80%を山地が占めるという豊かな自然に恵まれた国です。一方、国民の約6割が貧困状態におかれ、解決すべき社会課題を多く抱えています。保健分野では、妊産婦や乳幼児の健康に加え、非感染性疾患(NCDs)の課題も顕在化しています。また、温暖化の影響に伴う自然環境の変化により、特に地方に住む農家の生活を脅かされています。教育面でも、不適切な環境で学習せざるを得ない子どもが多くいます。

 
面積:11.2万㎢ (日本の約3分の1)
人口:1,059万人 (2023年/世界銀行)
公用語:スペイン語
1 人あたりのGNI:2,900米ドル (2023年/世界銀行)
5 歳未満児死亡率:16人 (出生1,000人あたり、2022年/UN IMGE)
妊産婦死亡率:72人 (出生10万人あたり、2020年/WHO)

母子継続ケア強化事業(2024年3月-現在)

 
【目的】
家庭・地域・保健所連携による母子の健康継続ケア体制の確立
 
【主な活動】
資機材の供与、保健人材(保健所スタッフ、保健ボランティア)の能力強化、保健ボランティアによる訪問保健指導。母子手帳の配布と活用促進、両親学級の開催、啓発活動、など
 
【活動レポート】
2024年11月:母子のいのちだけでなく、その後も続く人生を守るために
2024年3月:新しい活動地で「母子の継続ケア強化」事業を開始しました
 
【活動地】フランシスコ・モラサン県レイトカ市及びクラレン市

フランシスコ・モラサン県では、都市部と地方部の貧富及びインフラの格差が拡大しており、それが母子保健の向上を阻んでいる。特に事業対象の2市では、開発の遅れ、公的保健医療サービスの質の低迷に加えて、文化的な因習の影響により、母子の健康に対する意識と知識が不足している。
 
※本事業は、日本国外務省からの資金協力(日本NGO連携無償資金協力)に加え、皆様からのご寄付により活動を実施しています。

 

専門家による母子手帳研修
両親学級での料理教室
乳がん・子宮頸がん検診促進による予防啓発事業(2022年12月-現在)

 
【目的】
乳がん・子宮頸がんの早期発見と治療
 
【主な活動】
公的保健医療施設における検診サービスの整備支援(技術研修の実施、資機材供与)、保健ボランティアの能力強化、啓発活動、など
 
【活動レポート】
2024年10月:乳がん最新情報!希望を広げる月間です!
2023年12月:乳がん・子宮頸がん検診事業が2年目に
2023年7月:第一三共株式会社「ホンジュラスにおける乳がん・子宮頸がん検診促進による予防啓発プロジェクト」(同社公式サイトに移動します)
 
【活動地】エル・パライソ県エル・パライソ市、ダンリ市、テウパセンティ市、トロヘス市
ホンジュラス国内でも、乳がん・子宮頸がん罹患者数が最も多い県の一つだが、人材や資機材の不足もあり、一次医療機関ではHPVワクチン接種のみで、乳がん・子宮頸がん検診や治療、啓発サービスは提供されていない。
 
※本事業は、第一三共株式会社(本社:東京都中央区)との連携のもと、実施しています。

 

子宮頸がんの検査・治療方法の研修
保健ボランティアへの乳がん研修
保健サービスネットワーク(RISS)を通じた保健サービスデリバリー強化プロジェクト(2021年10月-現在)


 
JICA技術協力プロジェクトの共同企業体の構成員として、優先非感染性疾患(高血圧症、糖尿病)に係る保健サービスの改善を目指し、保健行政が行う監督・モニタリング・評価体制の構築支援に携わっています。
プロジェクト詳細はこちらから(JICA技術協力プロジェクトサイトに移動します)
 
 

水源保全とアグロフォレストリー推進事業(2023年7月-2024年6月)

 
【目的】
環境と調和した持続可能な農業を通じた自然との共生
 
【主な活動】
植樹、苗床の設置、水源の囲い設置(獣害防止のため)、など
 
【活動レポート】
2024年8月:地域の水源の保全を目指して~令和5年度「緑の募金」による活動のご報告~
 
【活動地】エル・パライソ県サン・ルカス市、サン・アントニオ・デ・フローレス市、オロポリ市、グイノペ市
活動地は降雨量の少ない乾燥地域のため、十分な収穫が得られず、住民は慢性的に食料不足の状況におかれている。少しでも生産性を高めようと、焼畑で耕作面積を広げたり化学肥料の使用を繰り返してきた結果、土地が痩せてさらに生産量が減り、ますます食料が不足するという悪循環に陥っている。
 
※本事業は、(公社)国土緑化推進機構「令和5年度緑の募金」ほか、皆様からのご寄付により活動を実施しました。

 

地域の水源
植樹に取り組む地域住民
家庭菜園を通じた栄養改善プロジェクト(2023年7月-2024年6月)

 
【目的】
栄養教育および家庭菜園栽培技術研修を通じた食料生産の増加と栄養バランスの良い食生活の実践
 
【主な活動】
家庭菜園運営委員会の結成と会合、菜園設置研修、野菜・果物栽培研修、自然環境にやさしい土壌(肥料)・除虫剤作製研修、栄養教室、学校菜園および児童への栄養教室
 
【活動レポート】
2024年9月:野菜を栽培して食べられるようになりました。サントスさんとアレハンドロくんからの手紙 (一食平和基金公式サイトへ移動します)
 
【活動地】エル・パライソ県サン・ルカス市、サン・アントニオ・デ・フローレス市、オロポリ市、グイノペ市
活動地は降雨量の少ない乾燥地域で、十分な収穫が得られず、住民は慢性的に食料不足の状況におかれている。特に野菜栽培は難しいことから、街中の商店まで遠いへき地集落では野菜や果物を食べる習慣がない。自然災害のたびに実施される食料配布支援は住民の依存度を高めており、農家を食料生産から退ける結果となっている。
 
※本事業は、立正佼成会一食平和基金からの助成、ぼてぢゅう®グループならびに皆様からのご寄付により活動を実施しました。

 

土壌づくり
家庭菜園の経験を伝える農家
受益者の声(エル・パライソ県グイノペ市在住 ホセ・ロメリオ・デグランデス・ラミレスさん)
トウモロコシや豆類は、家庭菜園事業に参加する前から栽培していましたが、今はキャベツやブロッコリー、人参など10種類以上の野菜づくりに挑戦中です。生ごみや枯葉・枯草、硫黄、石灰を使った自然肥料・農薬の作り方を教えてもらい、それを実践しています。また、堆肥づくりと土壌管理、水やりの量とタイミングなどの栽培技術を学ぶとともに、作物の多様性、栄養と健康、森林破壊についても考えるようになりました。家族も栄養のバランスを気にするようになり、野菜や果物を食べる量がグッと増えました。
事業から得たものを他の人たちにも共有し、持続性の高い農業を次世代に引き継ぎたいと思います。環境にやさしい方法で栽培した体に良い作物を食べることを促し、この地域の人たちの健康向上に貢献していきます。
ホセ・ロメリオ・デグランデス・ラミレスさん
パートナー紹介(テウパセンティ保健所看護師 デイシ・シオマラ・ラモスさん )
2019年に始まった母子保健事業から現在の乳がん・子宮頸がん事業まで、私たちの市に継続的なご支援をいただき感謝します。
昨年、乳がんの超音波検査や子宮頸がんの視診、熱凝固治療の研修を初めて受講したことで、前がん病変の可能性を判断し、治療が必要なケースを見極めるスキルが身につきました。研修後、保健所全体で300件以上の検査や治療を実施してきましたが、「何もなくて安心した」「頸部の痛みがなくなった」など患者さんの満足の声を聞くことが何よりの喜びです。精密検査や経過観察が必要と診断された人の中には、不安を抱える人が少なくないため、検診後のフォローを心がけています。アムダマインズの支援は、私たち医療従事者、保健所、地域に利益をもたらしています。
貧しい人の多いこの地域で、私のスキルが女性の助けになり、乳がん・子宮頸がんの予防と早期発見、ひいては死亡の削減につながることを願います。
デイシ・シオマラ・ラモスさん
ホンジュラススタッフブログ

 

最新のブログ
言語景観から感じる文化」 2024年2月 奥田鹿恵子
 
ホンジュラス駐在3年目に入った奥田が、日々の暮らしや、プロジェクト活動で目にした言語景観から感じるホンジュラスの文化についてお伝えします。

 


バックナンバー
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贅沢なひととき」 2021年10月 白川良美
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動物に優しいホンジュラス」 2019年10月 白川良美
ホンジュラスの村人が大好きな栄養満点レシピを紹介します!」 2019年4月 陰山亮子
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(2024年11月更新)