11月20日は世界こどもの日です ホンジュラス事務所 浦上晶絵
「この子はハッピーなの!」
幸福感を持っている子ども、という意味合いで、ホンジュラスで、親が自分の子どもについて表現する際によく聞かれる言葉の一つです。自分の子は「ハッピー」と言い切るお母さんの姿には、清々しさが感じられます。子どもたちやその家族が置かれている厳しい貧困や、極度に制限された山間部の生活環境を知る身として、この言葉はより印象的で、意味深く響きます。
皇后陛下美智子様が、子育てについて述べられたお言葉を思い出します。
「幸せな子」を育てるのではなく、
どんな境遇におかれても「幸せになれる子」を育てたい
11月20日は、「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」が採択された日です。世界こどもの日として知られ、今年で28年を迎えます。18歳未満を児童(子ども)と定義し、すべての子どもに人権を保障する初めての国際条約であり、世界中で子どもの保護を進めるきっかけともなりました。子どもの安全、健康、教育は、各国で最重要課題として位置づけられ、政府や国連、NGOなどが改善に取り組んでいることは、現代社会において実感するところです。中南米の中でも最貧困国とされるホンジュラス。保健や教育分野で整備の遅れが目立つ山間部において、18歳未満の子どもを対象にした事業を数々実施してきました。
注目したいのが、大人の保護を要する子どもの時期にも関わらず、お母さんとして、一人の「子ども」を育む人生をスタートさせる若い女性が、実に多いという現実です。このような状況の中、思春期リプロダクティブヘルス推進事業を実施し、若年妊娠の減少に取り組んでいます。
また、年齢に関わらず、お母さんになった女性とその子どもたちに対して、今年から新たにキッズクラブを始めました。山間部に居住するお母さんたちが子ども連れで参加し、栄養バランスに配慮した料理教室、家でもできる幼児教育、工作教室などを取り入れて大変好評でした。「子どもが幸せだから私も幸せ」と、子どもが主役のはずが、お母さんたちが、何より活動を楽しみ一番の笑顔を見せてくれました。
事業を行っている対象地の子どもたちは、決して恵まれた環境下に生活しているわけではありません。しかし、幸せを感じるのが上手な、まさに「幸せになれる子」「幸せになれるお母さん」ではないかと思うことがあります。
子どもたちが大人になって子ども時代を振り返ったとき、私たちの事業が、生活の質の向上の一助となっていたと、実感できるような事業ができていれば最高だと思います