アラウカ市にピアルームを開所しました ホンジュラス事務所 浦上晶絵

2018/11/02

ホンジュラス共和国の首都テグシガルパ市から約138Km、ニカラグア国境沿いの山あいに人口約9,500人のアラウカ市があります。私たちは1年半前から、外務省日本NGO連携無償資金協力事業として、「エル・パライソ県エル・パライソ市、アラウカ市における思春期リプロダクティブヘルス推進プロジェクト」を実施しています。保健所、学校、コミュニティ、家庭、友人関係の中から、思春期リプロダクティブヘルスを推進し、啓発活動を継続的に実施することで、若年妊娠の減少に貢献するよう事業を進めてきました。
 
この度、本事業の活動の1つとして同市のアラウカ保健所にピアルームを設置しました。ピアルームは、スペイン語で「Espacio Amigable」(エスパシオ・アミガブレ)と呼んでいますが、「フレンドリーな空間」という意味があります。まさに、思春期の若者が親しみを持ってこの空間に集まり、保健所スタッフや心理カウンセラーに相談したり、若者同士がお互いの悩みを打ち明け合ったりできる、みんなに開かれた場所であって欲しいとの願いが込められています。

完成したピアルーム
完成したピアルーム

10月22日、同ピアルームの開所式が執り行われ、在ホンジュラス日本国大使館の福田紀夫大使、アラウカ市のルイス・エスピナル市長、アラウカ保健所のソニア・エルナンデス所長、エル・パライソ県保健事務所インディアーナ・アルヘニャル所長、AMDA-MINDSホンジュラス事業統括の山田留美子が出席しました。多くのアラウカ市民や事業関係者が心待ちにしていたピアルームのお披露目は、晴天の中、和やかに行われ、皆の記憶に残る一日となりました。

開所式来賓者(左から福田紀夫大使、アラウカ市長、県保健所長ら)
開所式来賓者(左から福田紀夫大使、アラウカ市長、県保健所長ら)
200人以上の関係者や地域住民がピアルームの開所を祝った
200人以上の関係者や地域住民がピアルームの開所を祝った

アラウカ市のエスピナル市長は、市の史上初めて「大使」を迎えることに最大の敬意と感謝を示しました。アラウカ市役所正面からアラウカ保健所までの約100mの道のりを、事業対象校でもある中高一貫校、ロサリオ校の鼓笛隊とともにパレードした様子は、多くのローカルメディアのカメラにも収められました。パレードの終着点には、飾り付けられたアラウカ保健所の門があり、その先に保健所のカラーである爽やかなグリーンに塗装されたピアルームが姿を現しました。主賓からは、ピアルームの開所に対する祝辞がそれぞれ述べられるとともに、これからピアルームを活用し、思春期リプロダクティブヘルスを推進していくという重要な役割を担うピアリーダーたちへの激励の言葉が溢れていました。

アラウカ市役所前から式典会場のアラウカ保健所までパレード
アラウカ市役所前から式典会場のアラウカ保健所までパレード
ロサリオ校女子生徒によるフォルクローレ。左の生徒はピアリーダーとして活躍中
ロサリオ校女子生徒によるフォルクローレ。左の生徒はピアリーダとして活躍中

アラウカでは、事業の直接受益者として保健所スタッフ6人、保健ボランティア14人、学校教師8人、保護者30人、そして中高生のピアリーダー18人が、研修を受けたり、思春期層への啓発活動を行ったりしています。市内全域には、10歳から19歳のプレ思春期を含む思春期層が約2,000人いますが、山村のコミュニティに入ると、学校へ通わずに、農業や家事手伝いをしている子どもも多くいます。そして彼らこそが、若年妊娠のリスクが高い層と言えます。設置されたピアルームがアラウカ市の少年少女、青少年に認知され、ピアルームを訪れる思春期層が増え、思春期リプロダクティブヘルスに関する教育機会を得てほしいと願っています。
 
事業もいよいよ終盤に入ります。現地の人々が主体的に行動し、事業終了後も活動が自立発展していくことができるよう、残りの期間も取り組んでいきたいと思います。

(別の地域で行なった先行事業の活動詳細はこちら