思春期リプロダクティブヘルス推進事業(第1期)

2017/05/31

エル・パライソ県では若年層の妊娠が多く、特に山間部では19歳以下の妊婦が半数近くを占めています。若年妊娠は死亡リスクが高いだけでなく、性感染症や就学への影響など深刻な問題となっており、国の最重要課題の一つとなっています。しかし、若年層がリプロダクティブヘルスに関する情報を得られる機会は少なく、対策につながりにくいのが現状です。そこで思春期(10歳~19歳)の少年少女が適切なリプロダクティブヘルスケアを受けられるようになることを目的として、ダンリ市の4つの保健所と4つの中・高校を主な対象として、2年間の事業を実施しました。

啓発活動のために開催した健康フェアでリプロダクティブヘルスに関するリーフレットを配布した
啓発活動のために開催した健康フェアでリプロダクティブヘルスに関するリーフレットを配布した

研修を受ける保護者たち
研修を受ける保護者たち

事業では、主に4つの活動を行いました。①保健所の思春期層に対するリプロダクティブヘルスケアサービスの内容と提供環境の向上に向けて、4つの保健所スタッフや保健ボランティアを対象とした思春期層と大人のコミュニケーション、性とジェンダー等に関する研修、保健所と学校の協働によるアクションプランの策定と実施、思春期層が相談や啓発活動を行うことができる「ピアルーム」の設置(8か所)、保健所スタッフによる思春期層へのカウンセリング、②教師、保護者、保健所間の協力体制の構築に向けて、保健所スタッフと一緒に教師も対象とした研修、保護者を対象とした思春期の身体、性教育の重要性等に関する研修、保健所のカウンセリング紹介、生徒からの相談対応、③ピアリーダーを選出し、彼らを対象とした価値観、人生設計などに関する研修、アクションプランの作成、④思春期層のリプロダクティブヘルスに関する知識の向上に向けて、ピアリーダーによる啓発ポスターの作成、他の生徒へのピア教育や啓発活動、学校に通っていない思春期層の戸別訪問、などを行いました。

この結果、保健所と学校に設置したピアルームは延べ3,379人に利用され、思春期層への情報提供やカウンセリングが行われた他、思春期層の妊婦の産前健診受診数は31%増加し、1人あたりの受診回数も3.9回から4.5回に増加しました。また、これらのサービスを受けた思春期層の98%がリプロダクティブヘルスについて安心して相談することができ、他の思春期層にも紹介したいと話すなどし、対象地の思春期層に対するリプロダクティブヘルスケアの向上が確認されました。

なお、この事業は、外務省日本NGO連携無償資金協力事業のご支援により実施しました。