ホンジュラス山間地域の小学校を整備しました
日蓮宗あんのん基金のご支援で「セロ・ラレ村小学校の教育環境整備事業」を実施しました。
エル・パライソ県バド・アンチョ市のセロ・ラレ村は、首都テグシガルパ市からバスで7時間、さらに徒歩で2時間かかる山間地域にあります。教育や保健といった公共サービスへのアクセスが悪く、収入も少ないため家族の生活は非常に苦しいですが、子どもに教育を受けさせたいという思いは強く、どうにか制服や学用品を調達して子どもを学校に送り出しています。
村内で唯一の公立教育機関のフランシスコ・モラサン小学校は、1998年に建設され、幼稚園も併設され、3教室を備えます。幼稚園には、教員1人、園児8人が在籍し、小学校には、教員2人、1年生から6年生までの児童51人が学んでいますが、限られた教員で授業を行うため、複式学級で運営されています。セロ・ラレ村では、年々新入学生の数も増えており、小学校設備や教育体制の改善など、教育環境の整備が急務となっていました。
AMDA-MINDSは、バド・アンチョ市を含む周辺3市で、2014年から昨年まで「母と子のプライマリーヘルスケア向上プロジェクト」を実施しました。事業対象村の一つであったセロ・ラレ村のフランシスコ・モラサン小学校では建物の老朽化が進み、教師や児童たちが不便を感じながら授業を受けていました。小学校の教室から天井を見上げると、屋根にある大きなヒビから太陽の光がのぞき、雨の日には、雨漏りがして、勉強できない状況でした。また、校庭の脇にあるトイレは、扉も外れ、直下式のトイレには汚物が溜まり、とうの昔に使えなくなっていました。子どもたちは、必然的に野外で排泄せざるを得ず、学校の衛生環境と児童の健康に悪影響を与えていました。こういった状況の中、プロジェクトを通じてこの村に組織された保健ボランティアから形成される緊急搬送委員会のメンバーが小学校の環境整備の支援を求め、MINDSを通じて「日蓮宗あんのん基金」へ申請し、ご支援いただきました。
屋根は新しく張り替えられ、雨漏りの心配がなくなりました。トイレは1棟4基の簡易水洗トイレが完成し、臭いも大幅に抑えられ、清潔な状態で使用できるようになりました。トイレの正しい利用法については、トイレ内の扉に、イラスト入りのポスターを掲示し、児童にも分かりやすく理解できるようになっています。
フランシスコ・モラサン小学校のカルロス・エスピナル先生は、嬉しそうに話してくれました。
「きれいで新しい屋根の下、児童たちは、集中して授業を受けることができるようになりました。5月から雨季に入りましたが、雨が降っても雨漏りしない教室で、児童たちは天井を見つめては笑顔になります。昨年までは、雨水の掃き出しから一日がスタートする日も多かったことを思い出すと、今はとても快適になりました。新しいトイレも設置され、児童たちも休憩時間にきちんとトイレで排泄する習慣がついてきています。」
小学校には、トイレを使い慣れていない児童もおり、そのような児童に対しては、教師が丁寧に使い方を教えています。今後も、保健ボランティアが中心となり保健教育を継続し、保健衛生に関わる知識を村内に定着させていきます。