ミャンマーの水かけ祭り ミャンマー事務所 渡辺陽子

2018/05/15

ミャンマーの1年は毎年4月に始まります。その直前に行われる「ティンジャン」と呼ばれる水かけ祭りは、ミャンマーの人々にとって1年で最も大切なイベントで、水をかけることで1年の不幸やけがれを洗い流し、新年を迎えるという意味が込められています。先月の4月13日~16日にかけて行われた水かけ祭りの様子について、ご紹介します。
 

ミャンマーの国花パダウ。水かけ祭りの時期に咲きます
水かけ祭りの時期に咲く国花のパダウ(筆者右)

 
私は今回、水かけ祭りをはじめて体験する中で、多くの発見がありました。一言で「水をかける」と言っても、手で水をすくってやさしくかける、バケツや水鉄砲をつかってかける、ホースで放水する等、様々な方法があります。
 
まず、ヤンゴンでの水かけ祭りについてです。あちこちにステージが設置され、それぞれ数十本のホースが伸びています。さてこの後、どうなるのでしょうか。なんと、水をかけられるために、若者たちが車の荷台に乗り、ステージの前にやってきました。ステージ上のホースからは勢いよく水が放たれていきます。このぐらい激しく水を浴びたら、けがれや良くない物もきれいに流せてしまえそうですね。この日は4月16日、日本でいえば大みそかにあたるため、水かけ祭りも最終日。そのせいで、激しさもさらに増していたのかもしれません。
 
荷台の若者たちも道路もびしょ濡れです
トラックの荷台に乗った若者たちも道路もびしょ濡れ

 
ホースの水をバケツに集めて再び水かけに使う猛者もいました(中央)
ホースの水をバケツに集めて再び水かけに使う猛者も(中央)

 
続いては、ミャンマーで2番目に大きいとされるインレー湖の水かけ祭りです。この湖は、観光地としてよく知られており、ボートに乗って寺院を訪ねたり、水上で暮らす人々の様子を垣間見ることができます。さて、もともと水が豊富にあるインレー湖では、人々はどのように水かけ祭りを楽しむのでしょうか。
 
湖では、写真のようにのどかな風景を見ながらボートでの移動を楽しむことができます。美しい自然にほっと気を緩めていると、突然やってきました。ミャンマー人観光客を乗せたボートが向かい側から近づいてきたので、お互いに手を振り、挨拶をしました。通り過ぎたと思った瞬間に、相手のボートから水をかけられていたことに気づきました。1年に1回のお祭りですから、湖上であっても水はかけられるのです。子どもたちは、手に水を溜められる容器を持ち、観光客を乗せたボートがやってくるのを楽しみに待ちます。
 
ボートの乗客を直撃するホースの水
ボートの乗客を直撃するホースの水

 
おもちゃの水鉄砲を手に持つ少年
おもちゃの水鉄砲を手に持つ少年

 
このような可愛らしい待ち伏せになれた頃、新たな水かけポイントが現れました。ある水上レストランの横を通り過ぎようとした時です。湖から汲み上げた水がホースを通り、非常に激しい勢いでボートに放水されます。ここまでは濡れないように日傘を差すなどの対策をしていましたが、さすがにこれは避けようがなく、しっかりと濡れてしまいました。でも一度、全身が濡れてしまえば、暑い日差しの中なので、かえって気持ちがよかったりもします。
 
水上集落にて、ボートを待ち伏せする男の子
水上集落にて、ボートを待ち伏せする男の子

 
水かけ祭りは、ヤンゴン、インレー湖以外にも全国各地で行われています。この期間は、普段のミャンマーでは味わえない、思い出深い体験ができることと思います。水かけ祭りに参加し、新たな発見をしてみてはいかがでしょうか。
 
 

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この記事を書いたのは
渡辺陽子(わたなべようこ)
ミャンマー事業 業務調整員


大学生の時に訪れたフィリピンで目の当たりにした「格差」に衝撃を受けるのと同時に、都市部のスラムや農村でその格差是正に取り組む人々に感銘をうけ、国際協力の道を志す。大学卒業後、病院事務職を経て、公衆衛生学修士を取得。NGO職員としてフィリピンにも駐在後、2017年にAMDA-MINDS入職。趣味は歯磨きとヤンゴンの動物園散策。ヤンゴンにある動物園は緑に囲まれた敷地にあり、子ども連れの家族を見ているだけで癒し。岡山のお気に入りスポットは、後楽園の井田(田んぼ)と、路面電車から見える景色。埼玉県出身。