ウンのつく暮らし~犬と牛と時々猫 ネパール事務所 奥田鹿恵子
先月、初めてネパールを訪れた友人が一言。「犬が多いねぇ。」
確かに、首都カトマンズには野良犬が沢山います。毎日、徒歩30分の通勤路だけでも15匹以上に出くわします。今朝も肉屋の前で、いつもの仲良し2匹がしっぽを振りながらお行儀よく餌待ち。たまに吠えられたり囲まれたりする人もいるので気を付けないといけませんが、基本的にのんびり、おっとりした犬が多いです。
ネパールで2番目に大きいお祭り「ティハール」は、「カラスの日」「犬の日」「ラクシュミ(富と美の女神)の日」「牛の日」「兄弟の日」の5日間から成ります(今年は10月25日~29日)。ヒンドゥ教において、牛は神、そしてカラスや犬は神の使いとして敬われ、大切に扱うことで天国への道が切り開かれると信じられています。それぞれの動物の日には花の首飾りをかけたり(カラスを除く)、ご馳走を与えたりします。この風習にならい、メキシコでも「犬の日」を祝うイベントが2016年から開催されているそうです。その日に限らず、普段から野良犬に残飯やビスケットを与える心優しいネパール人。近年、カトマンズでは犬をペットとして飼う人が増えてきました。これも経済成長の証でしょうか。
そこかしこで犬は見ますが 、猫は指で数えるほどしか目にしたことがありません。一度、事業地への移動中に、車の前を黒猫が横切った際、運転手さんが路肩に停車し、後ろの車が私たちを通りすぎるまで待ったことがあります。何かと思えば、「黒猫が目の前を通ったら悪いことが起こる。通った時は、後ろの人が先に行くのを待て。その人が不吉なことをさらってくれる」とのこと。日本でも言われることがあるように、黒猫は不吉な動物とされているそうです。 ネパールの人々の暮らしが迷信とともにあるのだなぁと改めて感じました。
地方の日常風景で欠かせないのは、ヤギと牛が列をなして歩いている姿。ネパール人にとってヤギ肉はご馳走で、特にお祝い事の際に食べられます。牛を食べることはありませんが、それとは区別される水牛は食べたり、そのミルクを飲んだりする人もいます。そして水牛は、田畑を耕すための重要な働き手でもあります。
さて、ネパールに住んで4年になりますが、この間、カラスに糞を落とされること3回、犬や牛の糞を踏んだ回数は数え切れず…。「運」はかなり頂いているので、その分、何回黒猫が私の目の前を通ろうが、私への不運は取り去ってくれるはずです。(苦笑)