子どもたちの健やかな成長に向かって 海外事業運営本部 林 裕美
生活協同組合おかやまコープ「AMDA基金」(同基金の公式サイトに移動します)からのご支援で、当初、2020年度中に実施する予定だったホンジュラスでのキッズクラブ・児童図書館環境整備支援活動。
新型コロナウイルス感染症の影響により2年がかりとなってしまいましたが、2021年12月に終了することができました。今回はこの活動についてご報告します。
「キッズクラブ」は、日本で言うところの親子クラブのようなものです。ホンジュラスの山間地域に住む子どもは幼児教育・情操教育を受ける機会がほとんどないばかりか、親がそのような概念を知る機会も限られています。また、子どもと絵本を楽しんだり知育玩具で遊んだりするような習慣もなく、子どもの発達過程を意識して働きかけるようなこともありません。
そこで、エル・パライソ県テウパセンティ市で新たに「キッズクラブ」を立ち上げ、乳幼児をもつ母親や妊産婦、そして父親に、乳幼児の発達や早期教育に関する知識を伝え、親が子どもにしっかりと向き合い、子どもの想像力・創造力を養う遊びを一緒にする時間と場所を提供しました。
参加した父母からは、
「『早期刺激』とは初めて学んだ言葉で、会話ができないときからいろんな刺激を与えると良いことを知った」
「YouTubeばかり見る子どもとの過ごし方がわからなかったけど、何もなくても子どもと一緒に体をつかった遊びをするのは楽しかった」
「子どもの栄養について教えてもらえた。何をどのくらい与えたら良いかが参考になった」
などの感想が聞かれました。
また、キッズクラブを通じて、参加者は子育ての悩みや家庭でのしつけなどについて経験を共有していたようです。キッズクラブは子どもと親が健やかに成長していくための大きなきっかけとなりました。
幼児向けの本が少ない、エアコンが故障している、窓の建付けが悪く開け閉めが容易でなく十分な換気ができないなどのことから、子どもたちが行きたいとは感じにくい場所だった、テウパセンティ市で唯一の児童図書館の整備を支援しました。
具体的には、窓の修理、図書館の内・外壁の塗装、天井扇風機の設置、机・椅子、パソコン、印刷機、そして絵本の寄贈などを行いました。
これらの整備により、外から見ても児童図書館が開館していることが一目で分かるようになり、誰もが入りやすい、子どもたちが「行きたい!」と思える児童図書館に生まれ変わりました。窓の修理で光が差し込むようになった室内はぐっと明るくなり、窓の開閉と扇風機で十分換気できるようになりました。
自宅にパソコンがない子どもたちが来て、調べ学習にパソコンを利用するなど、コロナ禍で学校閉鎖が続く中でも、子どもが学び続けられる場を提供することができました。
ホンジュラスへの支援活動を通じて、おかやまコープ組合員の皆さまより毎年、現地の子育てを応援する素敵なグッズをいただきました。今回もおもちゃやシュシュ、メッセージブック、マスクなど(すべて手作りです!)が、キッズクラブや妊婦クラブに参加した子ども、お母さん、妊婦などに贈られました。
「このプレゼントは日本の方が想いを込めて、手作りで作ってくれたと聞きました。ホンジュラスではどのお店にも売っていない一点もののおもちゃを手にした気分で、誇らしいです」
「不織布マスクは高価で、毎日交換するのは難しいときがあります。プレゼントの布マスクは何度も洗って使え、便利で経済的なうえに、柄がおしゃれでとても気にいっています。特に子どもサイズは手に入りにくいので、家族でとても助かっています」
これらの活動は、様々な活動機会が少ない地方山間部の人々が、子どもたちの健やかな成長につながる知識や視点、経験を新しく得る機会となりました。また、日常生活が制限される中、数少ない楽しい時間を提供することができました。
当初予定より活動期間が長くなりましたが、現地の状況をご理解いただき、柔軟に応じてくださったおかやまコープの皆様に感謝申し上げます。
現地からの活動報告やイベント予定などを、公式SNSやメールマガジンでも配信しています。メールマガジンでは、他では公開していないオリジナルコンテンツ「スタッフのひとりごと」もお楽しみいただけます。