マダガスカルで遭遇した「ニワトリが先か、卵が先か」問題
マダガスカル事務所 江橋裕人
これまでは現地NGOとのパートナーシップをベースに、日本からの出張によって活動を実施してきたマガダスカルですが、いよいよ正式に事務所を立ち上げ、私自身が駐在員として赴任することになりました。
個人としてはザンビア(アフリカ)、ミャンマー(アジア)に続いて3か国目になるマダガスカル(アフリカとアジアのミックス?)への駐在を前に、とてもわくわくしています。
しかし、正式に国際NGOの事務所を立ち上げ、外国人である私が長期滞在するためには、頭が痛くなるような様々な手続きが必要になります。そこで2022年1月下旬からおよそ1か月の間、現地NGOと取り組んでいる事業の運営調整、及び事務所立ち上げにかかる諸手続きを進めることを目的に、現地に出張してきました。
実際にどう運用されているかはともかく、マダガスカルでは意外と(?)、様々な手続き上のルールはしっかり整えられているという印象を受けました。今回は、そうした気づきをいくつかご紹介します。
出張前から、インターネットで可能な手続きや、現地NGOを通じた準備を進めてはいたのですが、根本的に解決が困難な事案にも遭遇しました。その一つが「ニワトリが先か、卵が先か…」問題です。
世界中、どこで何を始めるにしても、その国の政府や行政機関から許可を得なくてはならず、マダガスカルで国際NGOが事業を立ち上げるためには、基本的に以下4つが必要とされました。
1. マダガスカル外務省におけるNGO登録
2. 活動分野を管轄する省庁との覚書締結。例えば栄養改善事業の場合、保健省と国家栄養局が該当
3. 現地での銀行口座の開設
4. 駐在員のビザ取得
ところが、なんと上記1と3と4には「駐在者の住居や事務所所在地」の情報が必要なのです。
外国人が駐在し、新規事業を立ち上げるために必要な手続きを進めているにもかかわらず、そのためにはすでに駐在員が現地に居住し、事務所を立ち上げていなければならないという無理難題に、思わず一休さんのとんちをお借りしたくなりました。
とはいえ、コロナ禍においても実際に現地を訪問し、交渉する機会を持てたことは幸運でした。対面で直接話しをすることで、こちらの意図がよりはっきりと伝わり、親身な対応につながった気がします。
山のような提出書類も、準備できないものは何で代替できるか、役所や銀行でお会いした皆さんからアドバイスをいただいたことで、予定していた手続きを1から3まで無事に終えることができました。
例の「ニワトリが先か、タマゴが先か」問題。結果的には、私の日本の住所や、大まかな現地住所の記載で、大丈夫だったようです。
残るはビザの手続きです。
マダガスカルで国際NGO勤務者が長期滞在ビザを申請するには、NGO登録証や、公務・労働・社会法省から大臣のサイン入り許可書(申請の際にはこれまた駐在者の住居情報も必要でした…)を取得するといった高いハードルが存在します。外務省の公文書認証を経た犯罪経歴証明書なども必要です。外国人に長期の就労と滞在を許可するのですから、そう簡単にはいきませんよね。
こうした準備を重ねることで、マダガスカルの方々と一緒に事業を実施する環境がようやく整ってきました。事業開始がとても楽しみです。
コロナ禍にも関わらず、日本からひょっこり現れた外国人に対し、折々にアドバイスをしてくださったマダガスカルの皆様、同地で活躍されている邦人の皆様に、この場を借りて感謝申し上げます。
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