マダガスカルに豊かな大地を!~自然環境保全プロジェクト~
農業専門家 平野耕志

2022/11/29

静岡県からマダガスカル共和国の首都アンタナナリボまで約20時間。そこから南西に車で約2時間。アナラマンガ県アチモンジャン郡では、AMDA-MINDSが現地NGOのCEMESと連携し、植林や農業技術の普及による環境保全プロジェクトを実施しています。
 
私は普段、掛川市でキウイフルーツの農園を営んでおりますが、2012年からAMDA-MINDSの様々な事業に専門家として関わってきました。
 
今回はアチモンジャン郡の9つの村を訪れ、植林された木々の栽培環境の調査・モニタリングや、主に野菜栽培技術に関する研修を行いました。
 

マダガスカルで地域の農家のみなさんと

 
ここでは、市場で販売しやすいレモンやアボカド、桃、パパイヤ、モリンガ、そして様々な資材として活用できるアカシア、ニーム、ユーカリなどが植えられています。アフリカ地域では植林後、灌水や追肥などの栽培管理を行わなくても木が成長すると考えている住民が多く、長期的な栽培サポートが必要だと考えておりました。
 
幼木の栽培指導の様子

 
また野菜栽培に関しては、イチゴ、ニンジン、トマト、豆類などの栽培技術を指導しました。近年、国際情勢の変化により多くの農業資材が高騰し、販売価格の安い野菜で収入向上を図ることは困難な状況になってきました。
 
そこで地域で手に入る資源を有効活用し、自作可能な資材の活用に重点を置いて栽培指導をしてきました。もちろん農薬を使わず化学肥料に頼らない栽培が可能となり、環境負荷や健康の改善にも繋がります。
 
対象地域では痩せている畑が多く、有機の肥料を適度に投入する必要がありました。そこで、マダガスカルで比較的購入しやすい、イースト菌を使ったぼかし堆肥作り教室を行いました。ぼかし堆肥の材料は現地の農家と話し合い、牛糞や藁、植物などの堆肥成分が多い有機資源を特定し、現在、効果の検証を行っております。
 
ぼかし堆肥作りの様子

 
また水の環境は地域によって差があります。乾期に水不足の農地や、水はけが悪く雨期に1m以上浸水してしまう場所もあり、栽培技術だけでは簡単に解決できない課題がたくさんあります。水不足の場所に対しては、雨期に貯水できる仕組みとして、標高の高い場所への貯水池の設置を検討しています。水はけの悪い地域には、農家と話し合い、養殖やレンコン栽培などの新しいアイデアを模索中です。
 
新しい技術に積極的にチャレンジする住民に対し、少しでも役に立てるよう、引き続き協力していきます。
 
なお、本事業は、トヨタ環境活動助成プログラムをはじめ、皆様からの支援により実施しています。これからも応援よろしくお願いします。
 
 

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この記事を書いたのは
平野耕志(ひらのこうし)
農業専門家


体験型観光農園「キウイフルーツカントリーJapan」(静岡県掛川市)代表。
ザンビア(JICA海外協力隊派遣)やネパール(震災被災地における農業振興プロジェクト)など、途上国での野菜や果樹栽培技術指導にも携わっている。農学修士。

 

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