乳がん最新情報!希望を広げる月間です!
ホンジュラス事務所 ダゴベルト・ロペス

2024/10/24

10月がやってきました。涼しい風や雨とともに、乳がん啓発月間も私たちのもとに訪れました。
多くの方が乳がんについて耳にしたことがあるかもしれませんが、この記事では、ホンジュラスにおける私たちの取り組みや想いをお伝えしたいと思います。
 

乳がん・子宮頸がん検診の必要性を訴える筆者(左)

 
1. 乳がんに関する現地の統計


世界保健機関(WHO)の推計によると、2014年には非感染性疾患が世界の死因のトップとなり、2018年には960万人が罹患しました。国際がん研究機関は、今世紀においてがんが世界で最も主要な死因になると予測しています。
 

ホンジュラスは、医療サービスへのアクセスが限られた低所得国です。このため、多くの女性が定期的な乳がん検診を受けることができず、がんが局所進行から転移へと進行してしまうことがしばしばです。
現在、ホンジュラスの女性に最も多く見られるがんは乳がんであり、死亡率は10万人あたり13.3人となっています。ホンジュラスで診断される乳がんの78%はステージIIIまたはIVであることが報告されています。
 
特に、アムダマインズが活動しているエル・パライソ県は、国内でもがんの影響を強く受けている地域の一つです。
乳がんは子宮頸がんと並んで女性に最も多く見られるがんの一つですが、私たちの取り組み「乳がん・子宮頸がん検診促進による予防啓発事業」が成果を上げています。このプロジェクトでは、地域の人々やがん患者に、がんの予防啓発と早期発見、適切な治療を目指して活動しています。
乳がんエコー検診をするマエリ・ロドリゲス医師(テウパセンティ診療所)

 
2. プロジェクトの戦略


私たちのプロジェクトは、乳がんの罹患率と死亡率を減少させることを目的としており、特に地域の医療提供者と地域社会のつながりを強化し、意識を高める活動を中心に展開しています。
 
プロジェクト開始当初、一部の地域では、男性の医療関係者に乳がん・子宮頸がんの検診をされることを、恥ずかしいと感じる受検者(女性)もいました。
しかし、地域の医療提供者への研修や、保健ボランティアの活動を通じて、すべての女性にとって検診が重要であることが理解されるようになりました。
 
私たちは多くの地域を訪れ、検診の重要性と、その恩恵を受けた方々からの感謝の言葉を直接聞くことができました。
会場まで徒歩3時間の道のりもいとわず研修に参加した保健ボランティアのホセさん。乳がんに関する教材に、熱心に目を通している。

 
3. 乳がん月間の活動


10月、乳がん啓発月間の一環として、ホンジュラスの様々な地域で啓発活動が行われ、私たちも乳がん啓発ウォークを開催しました。これには、乳がんを経験した方々の家族や友人が多く参加するなど、乳がんへの理解を深め、患者を支えるための活動が広がっています。
 

ヌエバ・エスペランサ診療所に向かう道のりを、乳がん検診の重要性を訴える人たちの長い列が続く

ヌエバ・エスペランサ診療所のスタッフ

私たちのプロジェクトでは、これまでに200人以上の女性に対して視触診や乳房超音波検査を行いましたが、多くの患者さんが、これまで一度も乳がん検査を受けたことがありませんでした。この活動は地域の支えのおかげで今も続けることができています。
 
私たちは乳がんの早期発見と予防の啓発活動が非常に重要だと考え、これまで活動していた3つの市に加え、新たにもう1つの市でも取り組みを始めることにしました。活動の多くは、前年に開始された地域の保健サービス(乳房視触診や超音波検査)の一環として計画されており、今月は乳がん検査に関する手作りのポスターを診療所に展示することも予定しています。
 
これほどの規模の活動は、これまで行われたことがありませんでしたが、私たちはそのすべてを楽しみながら取り組むことができました。若い世代が特に好むソーシャルメディアでの発信も重要だと思い、乳がん関連の手作りのポスターを紹介する短い動画クリップを制作しました。地域の皆さんがこの取り組みに参加し、自らの力を発揮してくれるよう促しました。
 
地域の団結と献身があってこそ、すべてが可能になることを実感しています。心を開いてくれた地域の皆さんにも感謝の気持ちを伝えたいと思います。
 
プロジェクトが道を切り開き、ホンジュラスの乳がん患者のために希望を育んでいます。共に力を合わせれば、私たちは何事も成し遂げることができます。「子をその行くべき道に従って教えよ、そうすれば年老いても、それを離れることがない。(旧約聖書箴言 22:6)」とても若い時期から意識を醸成することは、より良い社会生活へと導くために重要です。

 
※このプロジェクトは、第一三共株式会社(本社:東京都中央区)との連携 (同社公式サイトに移動します)のもと、実施しています。
※ダゴベルト・ロペス医師の活動レポート原文(英語)はこちらからダウンロードできます。

 

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活動レポート「乳がん・子宮頸がん検診事業が2年目に」(2023年12月)
ホンジュラス事業はこちらから

 

この記事を書いたのは
Dagoberto Mejía López
ホンジュラス事務所 事業コーディネーター


医師として、山間部にあるへき地の診療所に勤務していた時、住民と寝食を共にし、病気にも同じようにかかる生活をおくる中で、遠隔地に住む社会的・経済的弱者の公衆衛生の向上に携わりたいという想いを強くする。また、乳がんの発見が遅れた友人が若くして命を落としてしまったことから、がん検診の重要性を痛感。2022年12月より、アムダマインズの乳がん・子宮頸がん検診事業に従事。趣味は、読書、音楽鑑賞、物書き、絵を描くこと。ホンジュラスの首都テグシガルパ市出身。

 

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