一羽一羽に夢をのせて
海外事業運営本部 林 裕美

2024/12/02

皆さんこんにちは。今回はマダガスカルで実施している養鶏支援活動についてお伝えします。
 

ひなと親鶏

私たちは中央高地に位置するアチモンジャン郡で、5歳未満児の栄養改善を目指した様々な取り組みを進めています。その一環として、自ら鶏を育て、その卵や鶏を食することでタンパク質の摂取につなげる養鶏支援を、アフリカ支援基金や、かながわ湘南ロータリークラブからの助成を得て実施しています。
 
真っ先に養鶏に関する研修を受けた家族は、5月には事業から供与された鶏を受け取りました。
 
そして9月、私は鶏を供与した100世帯の一部を訪問し、鶏の成長の様子を見せてもらいました。ちなみに、鶏小屋は各家庭が自分たちで作ることにしているため、その姿形は一律ではありません。木(板)を使ったものが多いようですが、家の中の一角を鶏用に充てている家庭もあります。
盗難防止のため、夜は家の中に入れているのだとか。

私が訪問した家庭は、いずれもしっかりと世話をしているようで、供与した5羽すべてが元気でした。卵を得たり、上手な家庭はすでに1回、2回とひなをかえした家庭もあり、月齢ごとに分けて育てていました。
 
小屋を区切っている家庭もあり、理由を聞くと、仲が悪くてけんかをするから、お母さん鶏とその子どもごとに区切っているとのことでした。実際、私が話をしている間にも、区切りの隙間から顔を出したお母さん鶏を、隣の部屋の鶏が猛烈につついていました。
お母さん鶏ごとに区切った小屋。板で隔てられていても、相手の様子を伺っています。

また、健康に育てるためには、鶏へのワクチン接種も欠かせません。過去には打ったことがないという家庭も、ワクチンが病気を防ぎ、長期的にはメリットがあることを学んでからは、お金を払って適切な時期に打ってもらっているようでした。
月齢ごとにきちんと分けて管理しています。

話を聞く中では、少し課題もあるなと感じました。得た卵を、私たちが期待しているほど十分には食べていないような気がしたのです。多少なりとも現金収入にするため、売ってもいるからです。
 
もちろん、この養鶏支援は、食すことでの栄養改善にとどまらず、それを発展させて収入向上の手段になることも狙って実施しています。現金収入の機会は貴重なので、卵を売るなとは言えませんし、そのつもりもありません。できればもう少し食べてほしいなとは思いましたが、栄養摂取の重要性を繰り返し伝えつつ、今後鶏が増えていくことで、産む卵が増え、食べる量も増えることを期待したいと思います。
息子さんが作ってくれたという鶏小屋の前で。

鶏はまだそれほど大きくありませんが、どの家庭も一羽一羽に大きな夢と期待をかけて、大切に育てていると感じました。学んだことを一つずつ地道に実践し、彼らの夢が花開くよう、サポートを続けていきます。
 
引き続き皆様の応援をよろしくお願いします。
 

この記事を書いたのは
林 裕美(はやし ひろみ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


1993年のカンボジア総選挙で、選挙監視の国連ボランティアとして活動していた日本人が現地で殺害された事件をきっかけに、国際協力に関心を持つ。大学卒業後、民間企業を経て2001年にAMDA海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。カンボジアでのコミュニティ開発事業、インドネシアでの復興支援事業に従事後、2007年から現職。趣味のママさんバレー歴5年目にして、初のハーフ(中衛)センターポジションに四苦八苦。現在、猛特訓中!福岡県出身。
 

 
 

 
 

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