晴れの国 岡山から○○のフリータウンへ シエラレオネ事業 業務調整員 木下智
ハウ・ユ・ドゥ?(シエラレオネの言語のひとつクリオール語で「お元気ですか?」の意味)
事務所のある「晴れの国」岡山を出発し、シエラレオネの首都フリータウンに着任したのは昨年の8月初旬のことでした。(あれから早9ヶ月が経ちました。)フリータウンに一番近いルンギ国際空港に早朝4時過ぎぐらいに到着して、夜明け前の月光に照らされながら、小雨の中ボートで30分程度揺られ、フリータウンに到着したのを今でもよく覚えています。 ジブチ、ネパールの事業地を経験し長期赴任には慣れていると自負していましたが、こちらで初めて憂鬱な気分になりました。 さて、右の写真を見られて、スーツにうっすらと白い斑点が。 カメラのレンズの汚れが映っているように見えますが、「かび」なんです。 首都のフリータウン(写真②)は、熱帯モンスーンにあたり、首都近郊の河口部に、マングローブやジャングルが広がり、エビなどが豊富にとれるようです。5月~10月頃まで続く雨期には、連日のようにバケツをひっくり返したような雨が降り続きます。1週間(168時間)のうち、150時間ぐらい降っている豪雨っぷりです(木下計測値)。 ある統計によると岡山の年降水量が約1,100mm(東京の年降水量が約1,500mmですので、岡山がなぜ「晴れの国」と呼ばれる所以がわかります)に対して、フリータウンの年降水量が3,000mmを超えていますので、いかにフリータウンの降水量が多いかが容易に想像できると思います。そして、特に雨期の時期には、フリータウンでは岡山の4倍近くの降雨量があります。フリータウンの降雨量がどれだけ正確なのかはわかりませんが、こちらで毎日を過ごしていると岡山の降水量の4倍以上あるような感じです。 この豪雨の中で大変困っているのが、湿度の高さです。その結果、洗濯物が乾くのに時間がかかり、衣類や身の回りの物など様々なものにカビが生えてきます。 私より一足先にシエラレオネに来ていた同僚のメールのやりとりを赴任前に見ていると、洗濯物が乾かないことが取り上げられていました。洗濯物が乾かない状況って?と思っていましたが、こちらに来て実感がわきました。一度、衣類の洗濯をすると2,3日間洗濯物を干し続けないと乾きません。屋根つきのベランダに洗濯物を干していても、雨が降り始め風が強くなるとベランダまで雨が吹き込みますので、部屋の中に洗濯物を干しなおさなければなりません。洗濯物が乾かない事に少しイライラし、雨が止んだ時には、洗濯物をベランダに干しなおしますが、油断をすると、雨が強くなり取り込みをうっかり忘れていると、せっかく少しでも乾いたものが、びしょびしょになる羽目に…加えて、乾いたといっても生乾き状態。衣類を触るとパリッと乾いた感触はなく、少し、ベトっとしています。そして、家干しの嫌なにおいが衣類に残ってしまいます。 さらにこの湿気の高さの影響で、写真でお見せした通り、ジャケットに始まりあらゆるものにカビが生えてしまい大変困っております。できるだけ換気をするために窓やドアを開けたりして、さらには、衣類棚の扉をあけっぱなしで衣類などに風を通すようにしています。このような努力はしているのですが、服やかばんなどの身の回りの物を棚から出すと、うっすらと白い毛が…カビが生えてしまっています。今まで、カビにやられたもので、スーツ、ポーチ、かばん、そして、竹の耳かき… フリータウンでは連日の雨ですが、地方にでると天候が一気に変わります。雨期ですので、地方都市でも雨は降るのですが、同時に晴れ間も見られ、非常にすがすがしい気分になります。なぜかと思っていたところ、フリータウンの地形を見て納得しました。右の地形図を見ていただけるとフリータウンは半島に位置し、その半島には山があります。海から湿った風がこの山にあたり、雨を降らしているようです。そして、乾いた空気が内陸部へ流れていくのでしょう。日本でも同じような現象がみられ、冬場の日本海側では湿った空気が山に当たり地域に雨をもたらし、乾いた風が太平洋側に流れていきます。 さて、皆様の中には、雨と聞き、農業にとっては「恵みの雨」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。残念ながら、そうではなく、土壌に関するある研究者によると、この辺りは、他の地域にも栄養分が少なく、農作物を栽培するのは難しいといわれています…ここまで雨が降り続けると農作物に必要な栄養素が地表より流されてしまうようです。 憂鬱の原因は「大雨」のフリータウンです。そして、こちらではちょうどその雨季が始まるところなのです… 雨期のフリータウン、人や農作物によくないですね。 |