小さなきっかけを大きな縁に -国境なき医師団ホンジュラスとの協働から-ホンジュラス事務所 浦上晶絵
きっかけは、AMDA-MINDSが首都テグシガルパで実施中の青少年育成事業の活動の中で、関係機関を探していたことでした。
私たちが、国境なき医師団ホンジュラス(Medecins Sans Frontieres;以下MSF)と活動を行うようになって約2年、友好な関係を保っています。MSFはホンジュラスで1974年に活動を開始し、昨年2014年には40周年を迎え、保健医療分野の事業で成果を上げてきました。
「AMDAを通して我々の活動範囲も広がりました。埋もれてしまったかもしれない被害者を救うことができたのです。この経験はとても価値がありますし、本当に感謝しています。」MSFホンジュラスが展開している「性暴力被害者の支援プログラム」の現地コーディネーターが話してくれました。
当プログラムは、近年のホンジュラスの犯罪発生率の高さとも密接に関係しており、2011年からMSFホンジュラスが精力的に取り組んでいるプログラムです。性的暴力を受けた72時間以内に被害者を適切に医療機関に搬送し、HIV感染予防、性感染症予防、継続的な精神ケア行います。72時間というタイムリミットがありますが、ほとんどの場合、被害者をすぐに把握することができません。こういったプログラムはいかに多くの人々、特に被害者となる可能性が高い女性たちとその家族に周知できるかにかかっており、地域の保健所の協力、彼らと地域住民のコミュニケーション、そして他の関連団体との連携が欠かせません。
AMDA-MINDSが活動対象にしているある高校では、当団体とMSFホンジュラスの協働がきっかけとなり健康に関する校内イベントにMSFホンジュラスを招待し、全校生徒約3,000人に当プログラムのことを知ってもらう絶好の機会となりました。その後、同校の女子生徒が性的暴力の被害に遭うという事件が4件発生しましたが、いずれのケースも同校における啓発活動が功を奏して迅速にMSFに連絡が入り、被害女子生徒は適切な医療行為を受けることができ、回復に向かっています。小さなきっかけがなければ、この4件は発見できなかったかも知れません。
経験豊富な団体も、初めての場所、初めて出会う人々と一から信頼関係を築き、事業を実施していくことは決して簡単ではありません。当団体が培ってきた経験や信頼を、他団体にも共有し、そしてある時は共有してもらいながら、今後も連携してお互いの強みを生かした活動で相乗効果を生んでいきたいと思います。
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<国境なき医師団とは>
中立・独立・公平な立場で医療・人道援助活動を行う民間・非営利の国際団体です。1971年に設立し、1992年には日本事務局が発足しました。