ミャンマーの特別な日/ミャンマー事務所 江橋裕人
ここ数日、ヤンゴンの街では選挙カーが騒々しい音を立てて通り過ぎていく光景を見た。車両以外にも、トライショー(三輪の人力タクシー)がスティッカーを貼り、また旗を立てて疾走する姿を見かけた。すべては特別な日のために。
11月最初の週末は選挙運動だか、野外カラオケだか、よく分からない騒ぎも続いた。しかしどの政党もルールを守り、11月6日には選挙運動を終え、投票前日の7日はとても静かだった。7日と8日はアルコール販売が禁止ということもあり、酒を出す多くの飲食店はこの2日間休業状態だった。地元の人々からは、何とも言えない高揚感が溢れ出ていた。今度こそ自分たちの選択ができるのだ!という気持ちだろうか。
選挙当日、投票はなんと朝6時に開始された。私が住むアパート前の投票所(僧院)には5時半くらいから行列が200メートルもできていた。しかし、騒ぐでもなく、淡々と。午前中は事務所で留守番、14時過ぎに散歩がてら投票所の学校を二か所ほど覗いてみた。皆午前中に済ませているのか、閑散としていた。レストランやスーパーなども軒並み休業、車も普段の半分程度で渋滞も無く、この日だけは昔のヤンゴンに戻ったようだった。
ある特定地区での未実施、選挙人名簿など選挙運営に関する問題はさておき、一般論として、変化に対する人々の期待は本当に大きいのだ、と感じる。しかし、どのような政策論争が行われたのか、党首以外の候補者を選挙民はどう評価しているのか、難民や宗教対立の問題、あるいは現行憲法をどう理解しているのか、疑問は尽きない。また我々にとっては、和平合意に至っていない少数民族への対応が特に気になるところである。
正式な結果が出るまで3週間と言われているが、明日以降、様々な噂が立ち、人々は語りだす。軍はどのような反応を見せるのか。この社会の一員として、混乱が無いことを切に祈る。