ダン郡の母子保健事業が本格化! ネパール事務所 奥田鹿恵子
ナマステ!
2019年2月の事業開始からベースライン調査を終え、ニーズ分析を基に計画したダン郡ガダワ地区における母子の健康格差是正事業の活動が、いよいよ波に乗ってきました。最近の模様をダイジェストでお届けします。
女性地域保健ボランティア研修
村の住民と診療所の架け橋の役目を担う女性地域保健ボランティアは、家々を戸別訪問して、妊産婦健診や予防接種を促したり、遠隔診療をお手伝いしたり、お母さんと子どもの健康を守るためになくてはならない存在です。でも、「自分のやっていることやお母さんたちへ伝えていることは、本当に正しいのかな・・・」と不安になる時もあるようです。ボランティアになる際、地方行政によるオリエンテーションで「女性地域保健ボランティア」として活動する際に必要な保健知識・情報を学ぶのですが、何年も活動しているうちにせっかく習った知識を忘れることもありますし、もっと新しいことも知りたいという気持ちも出てきます。
「妊娠、出産、子どものケアに関することを、とにかく学びたいんです!」そんなボランティアさんの想いに応え、8月後半、対象地域で活動する全85名を対象に研修を実施しました。
ウシャさん(写真左から2番目)はボランティア歴19年のベテラン。産後に大量出血したお母さんの一命をとりとめた経験が、ボランティア活動に対する活力の源になっているそうです。
「彼女の家で分娩を介助した後、家族にも『ちゃんと診療所で産後健診を受けなきゃダメよ』って言って帰ったのよ。そしたら電話がかかってきて『膣から大量に血が出てる』って。急いで救急車を呼んで、裸足で家に走って行ったわ。あと少しでも診療所に着くのが遅かったら、危なかったわね。」と話す彼女。そんな彼女の奉仕の精神に心を打たれ、ボランティアがより誇りをもって活躍できるよう、この事業を通じて後押ししたいとより強く思うようになりました。「今回の研修から得た一番の収穫は?」と聞くと、「お母さんとのコミュニケーション方法」だとのこと。お母さんに一方的に話すだけでなく、「相手の表情や反応も見て、理解度を把握しながら、適切なアドバイスや対応ができるようになりたい」と語ってくれました。
家族計画の日
9月18日はネパールで6回目の「家族計画の日」。女性地域保健ボランティアを中心に啓発イベントを開催しました。
「安全な妊娠と出産は私たちの権利!」「妊娠、出産、子育ては、女だけの責任じゃないの!男も家族計画のことちゃんと考えてよ!」と声をあげながら行進し、その姿を見て共感した住民が続々と参加。あっという間に100人近くの列になっていました。
お母さん対象の保健ワークショップ
女性地域保健ボランティアへの研修に加え、お母さんたちの保健の知識と意識も高まるよう、定期的にワークショップを開催しています。今後は、女性地域保健ボランティアが中心となってこのワークショップを開催できるようサポートしていく他、男性、おじいちゃん・おばあちゃん、青少年も巻き込んで、保健啓発を行っていきます。
今年は、ネパールにおけるデング熱の感染件数が過去最高となり、患者数は9,000人以上と言われています。お母さんたちにも長袖の着用や蚊帳の使用を促しました。
遠隔診療
ネパールの公立診療所は、月2回、診療所から遠く離れた住民のために遠隔診療をすることが義務づけられています。事業スタッフも、妊産婦健診や予防接種を提供したり、子どもの成長を記録したりするお手伝いをしています。
いかがでしたか?少しは現場を身近に感じていただけましたでしょうか。今週も保健ワークショップに加え、診療所に供与する資機材の調達準備や診療所スタッフ研修の準備、ダン郡行政との調整会議など、予定は目白押しです。次のネパール活動レポートもお楽しみに!