ダン郡ガダワ地区で4つの簡易診療所がオープン!
ネパール事務所 奥田鹿恵子

2021/02/25

ナマステ! ネパールでも新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。「準備不足のため、本来の対象者数の半分も接種できていない」「ワクチンを受けると不妊症になるといううわさがあるけど、信じないで!」等のニュースを見かける一方、日々報告される新規感染者数は減少傾向にあり、明るい兆しが少し見えてきたように感じます。
 
さて、今回は嬉しいご報告があります。7月の活動レポートで建設開始をお知らせした簡易診療所8棟のうち、今年度に計画していた4棟の建設がついに完了しました!ネパール政府の新型コロナウイルス感染症拡大予防措置の一環で外出・移動制限が課されたことにより着工が遅れた上、建設予定地までの道が整備されていない所では、まず道路を整備してから資材を運搬する必要があったため、計画と比べ、完成までに多くの時間を要しました。しかし、地元住民が事業スタッフや施工業者と共に様々な困難を乗り越え、地域のためにと毎日必死に働き、流してきた汗の結晶である建物と、皆の笑顔を見ると、私の顔もついほころんでしまいます。
 
2月11日、第8区カバリナカ村での落成式に出席しました。式典には、郡保健局や開発局からも職員が参列し、日本からの支援に対する感謝の言葉を頂戴するとともに、「遠隔地に住む人たちに質の高い保健医療サービスを届け続けることができるよう、この施設の維持管理に努めます」との約束が交わされました。
 

第8区カバリナカ村での落成式の様子。第8区長のサッダム・シッディークさん(右)に目録を渡す筆者

 
「今日はカバリナカ村に行ってきたよ」と話すと、「え~、すごく遠くまで行ってきたのねぇ」と言われるくらい、同村は地元住民にとってもへき地だと認識されています。村人の主な交通手段は徒歩で、最寄りの診療所までは林の中を歩いて2時間。特に妊婦や子どもにとっては、とても遠く大変な道のりです。今回新しくオープンした簡易診療所では、ケガの応急手当の他、母子保健や家族計画に係るサービスも提供されるので、林の中を2時間歩かずとも、妊産婦健診や予防接種を受けられるようになります。今後はこの簡易診療所を拠点に、村人の保健衛生に関する意識向上と行動変容を促す啓発活動を、診療所スタッフとともに展開していく予定です。
 
完成したカバリナカ村の簡易診療所

 
遠隔地での保健医療サービス提供を維持していくためには、行政や保健医療施設のみならず、地元住民の協力も不可欠です。簡易診療所の建設時に設立された住民委員会である「建設モニタリング委員会」が、今後は「診療所運営管理委員会」として建物の維持管理やサービスの運営向上に携わっていくことができる仕組みが作られる予定です。
 
1月に開催した院内感染予防対策研修には、既存の診療所スタッフに加えて、簡易診療所に新しく配属されたスタッフも参加しました。医療廃棄物管理、手指衛生、消毒殺菌処理、整理整頓、清掃などについて、初めて知ること、習ったけど忘れてしまっていたことが沢山あったようで、「滅菌器を使用する際、これまでは適当に蒸らしていたけれど、121℃・15ポンドの圧力で20~30分が適切だということは知らなかった」「使途別の消毒液の作り方を初めて学んだ」といった声が聞かれた他、研修翌日には早速実践している姿もうかがえました。今後も引き続き、出産介助や患者対応等に係るスタッフの能力向上研修を実施していきます。
 
院内感染予防対策研修にて滅菌器の使用法を学ぶ診療所スタッフら

 
 

奥田鹿恵子(おくだかえこ)
ネパール事業 事業統括代行

 
ブラジルやメキシコの子どもを支援する団体でボランティア・インターンをしたことが、国際協力の道をめざすきっかけに。民間企業での市場調査、NGOでの広報業務、青年海外協力隊(中米ドミニカ共和国でのコミュニティ開発)を経て、2015年にAMDA-MINDS入職。趣味はYouTubeで楽しむマーシャルさんとのダンス・エクササイズ、バドミントン、映画鑑賞。岡山で過ごすお気に入りの時間は、岡山城や後楽園脇を流れる旭川沿いの散歩。奈良県出身。

 
 


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