少しの工夫で変わる意識~マダガスカルで子どもの栄養改善に向けた取り組みを90村に拡大
マダガスカル事務所 江橋裕人

2022/04/28

マダガスカル共和国の首都アンタナナリボから南西に車で約2時間。アナラマンガ県アチモンジャン郡の2村を対象に、これまで取り組んできた子どもの栄養改善に向けた活動を90村に拡大し、約3万6,000人の子どもの栄養改善を支援することになりました。
 
現在は、本格的な活動の実施を前に、スタッフの採用、インターネットや事務所家具など事務所環境の整備、ベースライン調査の準備などを進めているところです。
 

首都アンタナナリボでも最大規模のアナラケリー市場。早朝から、露店(多いのは果物屋、八百屋、花屋、食料品店、生活雑貨店など)が所狭しと立ち並びます。

 
マダガスカルは、5歳未満児の発育阻害率が世界で3番目に高い国で、その割合は実に半数(48.9%)に上ります。
 
発育阻害とは、慢性栄養不良により年齢に対して大幅に身長が低い状態のことで、身体や脳の発達が遅れ、免疫システム低下による疾病リスクが高まるなど、その影響は一生涯に及びます。そのため、早期の対策が不可欠とされ、様々な援助機関が子どもの栄養改善を支援しています。
 
アナラマンガ県保健局にて対象地域の小児保健に関する現状を確認。写真左から、現地パートナー団体ASOS(アソス)代表、県保健局長、江橋、現地スタッフのアンジェル。

 
ところが、ここアチモンジャン郡では5歳未満児の発育阻害率が56.7%と平均より高いにも関わらず支援が行き届いておらず、取り残された状況となっていました。
 
そこで、アムダマインズは現地NGOのASOS(アソス)と連携し、2020年から1年3か月にわたり、栄養改善の活動を2村で行ってきました。この活動を約90村に拡大し、2022年3月から3年間の予定で新たにプロジェクトを実施することにしたのです。
 
約70万人が暮らすアチモンジャン郡。首都に近い郡の北部に比べ、南部では栄養面はもちろん、栄養・保健サービスへのアクセスや衛生環境の悪さも大きな課題になっている。

 
具体的には、栄養改善に貢献する人材の能力向上や住民の栄養改善行動を促すことを目指し、栄養、水と衛生、生計全般などの研修で知識面の向上を図るだけでなく、トイレ建設や家庭菜園など、実践できる環境の整備も行います。
 
このプロジェクトで核となるのは、こうした取り組みを担うことになる約2,700人の住民トレーナーです。トレーナー養成研修を受けた住民が、今度は村人への研修講師を務めます。
 
その際、どこを研修会場にするかも決めていきます。村のことをよく知っているという利点を活かし、誰でもが容易に参加できるよう配慮してもらいます。乳幼児を連れた親でも歩いていける場所が研修会場として選ばれるでしょうし、隣近所の人がおおぜいで参加してトイレを作ったり、家庭菜園を始めたりしたら、研修に参加しなかった人も「自分もやってみようかな」と思うものですよね。
 
また、村の隣人が研修講師なので、分からないことがあれば、いつでも気軽に聞きに行くことができます。研修後だけでなく、それこそプロジェクトが終わった後でも。
 
アチモンジャン郡の子どもたち

 
子どもの栄養改善に資する良い実践事例ができても、事業終了後にその知識を広めることは容易ではありません。それなら最初からやってしまえ、です。住民自身のアイディアを実践できる環境作りを、工夫しながら支えていくことができたらと思います。
 
これら一連の活動は、日本国外務省からの資金協力(日本NGO連携無償資金協力)に加え、アムダマインズを応援してくださっている皆様からのご寄付により進めていきます。
 
子どもたちはもちろん、お母さんお父さんの笑顔が増えるよう、頑張ります。応援、よろしくお願いします。
 
 

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この記事を書いたのは

江橋裕人(えばしひろと)
マダガスカル事務所 事業統括


エチオピア飢饉やソマリア内戦のニュースを見たことがきっかけでアフリカへの興味を持つ。大学卒業後、民間企業に勤めたのち、イギリスの大学院でアフリカ地域研究(政治学)と国際関係論の修士号を取得。NGO職員としてアフリカのザンビアに3年半駐在後、2010年にアムダマインズ入職。事業統括としてミャンマー駐在後、2022年1月から現職。今の趣味はジョギング。日本にいた頃はオートバイ(愛車はBMW R1200GS)でのツーリング。岡山のお気に入りスポットは、旭川・百間川沿いのジョギングコース。茨城県出身

 

 
 
 

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