シエラレオネにおけるサポーティブ・スーパービジョン強化に向けた取り組み 海外事業運営本部 大谷聡

2022/10/04

西アフリカのシエラレオネにおいて、2013年から実施されてきたサポーティブ・スーパービジョン(正式名称はISSV:Integrated Supportive Supervision/統合的支援型監督指導体制)強化に向けたプロジェクトが、2022年6月に終了しました。アムダマインズは、アスカ・ワールド・コンサルタント株式会社と共同でJICA(国際協力機構)業務を受注し、この事業を支えてきました。
 

プロジェクト終了会合で登壇する保健衛生省政策計画情報局長 Dr. Smart(左)、同公衆衛生局長 Dr. Osaio(右)、JICAシエラレオネ支所長 佐藤 仁氏(中央)

 
ISSVとは、その名の通り、組織横断的なスーパービジョンを協力的に実施することで、行政の現場が抱える複数分野の課題の解決を効率的かつ効果的に目指す仕組み、もしくは体制を意味しています。
 
シエラレオネでは、2010年に「国家保健セクター戦略計画」が策定されましたが、その実効性と検証力を高める枠組みの一環としてISSVが導入されました。JICAによる当初の取組みは、地方の一県において、県保健管理局の適切な問題分析や計画策定を支援する活動から始まり、その後、保健衛生省から各県保健管理局に対するISSVの計画・実施支援へと拡大しました。
 
そして、2013年から、アムダマインズの職員(延べ4名)も加わり、先方政府による2つのレベル(本省から県保健管理局/県保健管理局から各保健施設)におけるISSVの全国展開を後押しました。各県の保健管理局や保健施設が抱える課題を正確に把握し、適切な対応策の提案・実施を通じて課題解決を図れるよう、保健システムの強化、保健サービスの向上を念頭に支援を積み重ねました。
 
アムダマインズは10年もの歳月をかけ、カウンターパートと共に一歩ずつ地道な活動を続けてきました。そしてその結果、事業が目指していた「保健衛生省及び全ての県保健管理局によるISSVサイクルにおける管理体制の強化」を達成することができました。
 
一次医療施設で、事業パートナーであるGIZ(ドイツ国際協力機構)スタッフから、デジタルISSVツールについての説明を受けるカウンターパートと筆者

 
スーパーバイザーの能力が強化されたことで、ISSVサイクルによって特定された課題(部分的なものも含め)の6割前後が解決されるようになりました。また、多くの県保健管理局が独自にISSVサイクルを実践するための活動資金を獲得できるようになったことも特筆に値します。
 
副次的な成果としては、本省及び県保健管理局においてISSV事務局体制が整備されたこと、継続的な研修や実地訓練を通じて、予算執行手続きやISSVサイクルの準備と実施、レポート作成などの業務の質が改善されたことなどが挙げられます。
 
様々な関係者による粘り強い努力と継続的な関わり合いによって生まれた、こうした事業の成果が、これからもシエラレオネ保健衛生省によって持続的かつ発展的に維持されていくことを願います。
 
苦楽を共にしたプロジェクトスタッフと共に

 

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この記事を書いたのは

大谷聡(おおたにさとし)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


大学生の時に参加したスタディーツアー(タイ)や、難民キャンプでのボランティア活動(クロアチア)が国際協力の道をめざすきっかけに。卒業後、民間企業を経て、イギリスの大学院で公衆衛生学修士号を取得。2005年にアムダ海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。アフリカのシエラレオネやザンビアにて、保健プロジェクトに公衆衛生専門家として従事。趣味はジョギング、アウトドア活動、旅行、スポーツ観戦。岡山のお気に入りスポットは、旭川・百間川沿いのジョギングコース。千葉県出身。

 
 

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