チーズとおもてなし
海外事業運営本部 林裕美

2025/12/12

こんにちは。私は年々寒さが堪えるようになってきていますが、皆様元気でお過ごしでしょうか。11月後半のマダガスカル(事務所がある首都アンタナナリボ)は一日を通じて程よく暖かく快適で、初冬の日本から出張で訪れた私には天国でした。

 

さて、事業地であるマンザカンジーナ郡へ向かう道中、現地スタッフが必ずといって良いほど立ち寄るお店があります。それはチーズを売っているお店です。

  • スタッフ御用達のチーズ屋さん。堂々たる看板です
  • お店のショーケース。ホールのものを切り分けてくれます。香草入りのものなどもあります(右奥)

その辺りはチーズが有名なのだそうで、なるほどぱっと見た感じでも3軒くらいのお店が軒を連ねています。スタッフは家へのお土産用ばかりでなく、帰りの車中で自分のおやつとしても食べるほど。私も100gだけ買ってみました。かみ応えのある硬さでしょっぱすぎず、おいしかったです。

 

そんな事業地で、農業支援事業に参加している受益者のアインゴさんが、親戚がつくっているからと我々訪問者全員にチーズをプレゼントしてくれました。しかも4個ずつ!4個を一袋に入れ、青と銀の細いリボンで口を閉じ、プレゼント風にしてくれていました。
 
先述のお店のチーズはホールケーキのように大き目で、量り売り(切り分け)を前提としているようでしたが、こちらは1個2個と個数単位で買える程度に小さく作られており、生産者の方の工夫が感じられました。私たちは7人とそれなりの人数がいたので「買いますよ!」と言ったのですが、これはプレゼントだからと受け取ってもらえませんでした。

  • いただいたチーズ。直径6.5㎝、厚さ2.5㎝。紙で作成されたラベルが、直接チーズ上面に貼られています
  • 左から、現地駐在スタッフの江橋、筆者、チーズをくれたモウ・アインゴさん、現地スタッフのアンジェラ。筆者が持っている茶色のバッグが、アインゴさんにいただいたもの

配り終えた後のアインゴさんの手には、それまでチーズを入れていたバッグが残りました。するとバッグの形を整えて振り向き、私にどうぞと差し出したのです。え!いやいや、このままで十分ですから。。。ところがよく見ると、どうも新品であるばかりか伝統的な自然素材を使って作られた、マダガスカルの民芸品ともいえるかばんでした。スタッフから、あなたへのプレゼントだから受け取ったらいいよと言われ、お礼を言っていただきました。日本に帰ると、家族からはそのかばん素敵と言われ、チーズもめっちゃおいしい、こういうチーズ好き、と大好評でした。

 

事業地へ行くと、しばしばこのようなおもてなしをいただきます。決して生活に余裕があるわけではないだろうに、来てくれたことに感謝し、せっかく来たのだから持って行ってと、自分たちの大切なものを分けてくれます。逆の立場なら、私にはどんなおもてなしができるだろう――。
 
短期滞在のため、今回は持ち帰らなかった大きな、いや、巨大な菜っ葉(両手で抱えると前が見えないくらい)を思い出しながら、改めてそんなことを考えています。

 

アインゴさんの畑。手前から2列目の菜っ葉を株ごと抜いてスタッフへ持たせてくれた。絶対新鮮

 

この記事を書いたのは
林 裕美(はやし ひろみ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


1993年のカンボジア総選挙で、選挙監視の国連ボランティアとして活動していた日本人が現地で殺害された事件をきっかけに、国際協力に関心を持つ。大学卒業後、民間企業を経て2001年にアムダ海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。カンボジアでのコミュニティ開発事業、インドネシアでの復興支援事業に従事後、2007年から現職。最近、吹奏楽の奥深さを認識。それぞれの楽器の特徴や楽譜の違いを知っては、いちいち感心している。福岡県出身。
 

 
 

 
 


 

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