ルパンデヒ郡4行政村における母子健康増進事業詳細
(1)「母親グループ」の知識と能力向上を支援する活動
① 36か所のコミュニティで、活動の中心的役割を担う「母親グループ」を形成しました。
② 各グループのメンバーが役割分担をして、保健衛生に関するいろいろなトピックについて学びます。左写真は、「乳幼児の健康」のトピックで体重の測り方を学んでいるメンバー、右写真は「栄養」のトピックで三大栄養群について学んでいるメンバーです。
③ 研修を受けたメンバーが、各自のグループで他のメンバーに学んだことを伝えます。始めはもじもじしてうまくしゃべることができなかったお母さんたちも、半年もすると自信を持って話すことができるようになりました。
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④ それぞれのコミュニティで母親グループが中心となって、「成長モニタリング活動」を行いました。いつも参加するお母さんは、「毎月子どもの体重を測るようになって、ちゃんと母乳を飲んでいるかな、栄養が足りているかな、と今まで以上に子どもの健康と成長に関心を持つようになりました。月ごとに体重が増えていくグラフをみると、とても嬉しい気持ちになります」と話してくれました。
(2)コミュニティの環境衛生改善を支援する活動
① 対象地域での「野外排泄撲滅」を目指して、各世帯でのトイレ設置をサポートしました。お金ではなく設置に必要な資材の一部を提供し、残りの資材や建設にかかる労働の提供は住民の自助努力を促しました。
② コミュニティ内でストリートドラマを演じたり、ドキュメンタリーを上映したりして衛生啓発に努めました。
③ 全世帯にトイレが設置されたコミュニティでは「野外排泄撲滅宣言」を公布しました。
(3)「コミュニティ基金」の円滑な運営と活用を促進する活動
① 母親グループメンバーが毎月定額の貯蓄活動を行います。始めは難しかった帳簿管理も、今ではプロジェクトスタッフの手を借りずにできるようになりました。
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② グループメンバーには、幼少の頃に学校に行くことができず読み書きが困難なお母さんもたくさんいます。グループメンバー全員で基金を守り、継続した運営ができるようになるために識字教室を実施しています。参加したお母さんは、「文字と数字が読めるようになって自分に自信がつきました。携帯電話も自分で使えるし、市役所や病院で、*番の部屋に行きなさい、と言われて迷うこともありません。自分の娘には必ず教育を受けさせようと思います」と嬉しそうに話しています。
(4)地域の公立診療所のサービス改善を支援する活動
① ネパールには全ての村に公立診療所が設置されていますが、その状況はまちまち・・・備品や薬が不足していたり、設備が整っていなかったり、はたまた医療スタッフが時間通りに来なかったり、と問題が山積みです。これに対し、診療所の運営委員会が中心となって問題を解決していけるよう、委員会メンバーへの能力強化研修、問題解決に向けたアクションプランの作成と実施をサポートしました。
② ネパールには全ての村に公立診療所が設置されていますが、交通網や道路が整っていない村では、遠方から訪れるのも一苦労・・・そこで、毎月診療所スタッフが村内のいくつかの場所に出張して「アウトリーチクリニック」を実施します。プロジェクトでは、アウトリーチクリニックが円滑に実施され、訪れる患者さんたちが快適にサービスを受けられるよう拠点となる建物の建設を行いました。この建物は、予防接種や妊産婦検診、栄養カウンセリングなど、お母さんと子どもたちが気軽に集まって相談できる拠点として活用されています。
③ 診療所スタッフと協力して、村での巡回診療キャンプ(産婦人科と小児科)を実施しました。特に産婦人科では、普段気になることがあってもなかなか病院に行く機会がない女性たちには大盛況でした。診療を女医さんにお願いしたことも、村の女性たちにとっては親しみやすかったようでした。