【特別寄稿】対話からはじまる国際協力
吉備国際大学 留学生別科主任 畑 裕子
コロナ禍から急増しているネパール人留学生。一体、彼らは母国でどんな暮らしをしているのだろう?そう思うようになってから数年。初めて訪れたネパールは、道路なども想像よりきれいで、生活も豊かな印象でした。
帰国後間もなく、偶然にも「ネパールってどんな国?~アムダマインズの活動を知ろう~」(主催:おかやまコープ 岡山西エリア)というワークショップに参加する機会がありました。
それが今回、本学で講師のお願いをしたきっかけでもあります。
その時の講師の竹久佳恵さんから、ネパールで支援されている活動内容や現状をお聞きし、ついこの前見てきたネパールはほんの一部でしかなかったこと、ネパールをはじめ、他の発展途上国でもまだまだ貧富の格差があるということを再認識し、そういったことを来日している留学生たちはどの程度認識しているのか?またそれをどう受け止めているのか?そして留学生と関わっている自分自身にも何かできることがあるのだろうか?と改めて考えるきっかけにもなりました。
本学には、主に東南アジアからの留学生が多く在籍しておりますが、果たして今の若者は、どのくらい自分の国に関心を持ち、未来のことを考えているのでしょう?
私が学生時代のころもそうでしたが、まず、そんな何年も先を見据えて国のため、世界のために何かせねば!と考えているような若者が、そうそういるとは思っておりません。
しかし、日本に留学するという行動を実際に起こしている彼らには、遠くない未来に「この先どうしよう、日本で仕事?帰国して仕事?何が今の自分にできるのだろう?」と悩む時が来るかと思います。
既に国際人としての一歩を踏み出している留学生が、海外にいるからこそ、改めて自国の問題点を見つめ直し、それを他国の仲間と共有する。
お互いの問題点を知ることで、また新たな気づきを得て、真の国際人として成長していく。
机上での学びも大事ですが、活動や交流、対話などからしか得られない学びもあります。
そういう場を提供できないかと、アムダマインズ様のところへご相談にあがり、今回の講義が実現しました。
講義をご担当くださった熊代智恵さんは、最後に「知らなかったことを知ること。そして、考えることが、国際協力の始まりです。」と締めくくってくださいましたが、今回の講義の狙いは、正にそこにあるのだと共感いたしました。
大それたことではなく、こういった活動に参加することだけでも、立派な国際貢献だと思います。
私がワークショップで体験したように、地元岡山で発足されたアムダマインズ様の活動を知り、また、身近な存在である仲間との学びの中で、他人事としてではなく意識を向けることによって、今の自分、そして未来の自分がどうありたいかを、ほんの少しでも考える機会が持てたら、、、今後、より有意義な留学生活を送ることができるのではないかと期待しております。
※本講義は、吉備国際大学岡山駅前キャンパス(岡山市北区)で1年間、日本語を中心に学ぶ「留学生別科」の留学生と、同学外国語学部で学ぶ日本人学生を対象に、「国際貢献とSDGs ‐母国の未来のためにできること、対話から始まる国際協力‐」と題して行ったものです。
講義の様子は、同学公式サイトでも紹介されていますので、あわせてご覧ください。
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