ザンビアの若者が挑んだ「生理の壁」~ハートサポートプロジェクトの歩み
海外事業運営本部 大谷 聡

2025/07/15

ハートサポートプロジェクト(同公式サイトに移動します)は、2018年10月11日の国際ガールズデーから始まった大王製紙株式会社のプロジェクトです。アムダマインズは同社と協働で2020年より、「生理」が引き起こすさまざまな社会的・経済的な壁を乗り越えようとするザンビアの若者たちの挑戦を応援してきました。

 

「生理が、あきらめる理由にならない世界へ。」をスローガンに取り組んできたプロジェクトが終了するにあたり、これまでの彼等の歩みをお伝えしたく、本レポートをお届けします。

 

若者たちが立ち上げたグループ「Star of George Youth Club」のロゴ。希望や前進、未来への躍動感にあふれています。

 

ザンビアの経済的に貧しい家庭の女の子の中には、生理用品を手に入れることができず、そのために学校を休み、学ぶ機会や将来の可能性を失っている子がいます。

 

「生理で夢をあきらめる子どもたちがいる。」 この現状を変えたいという思いで、ピア・エデュケーターの若者たちは、布ナプキンの作製・配布、そしてリプロダクティブヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に関する啓発活動に、地道に取り組んできました。作ったナプキンを手に、「これで安心して学校に行ける」と微笑んでくれる女の子たちの表情は、彼等の活動の原動力となりました。

 

孤児院で生活する女の子たちに布ナプキンを寄付しました
Wons(ワンズ)孤児院で生活する女の子たちに布ナプキンを寄付しました。中央は孤児院の院長先生。

 

活動は布ナプキンの作製・配布や啓発活動にとどまりません。プロジェクト終了後の自立的な活動の継続に向けて、“Star of George Youth Club”というグループを立ち上げ、様々な面から組織基盤作りに励むと共に、布ナプキンを販売することで収入を得る道を切り拓いてきました。若者たちは生理を「自分たちの問題」として真正面から捉え、仲間や地域にその思いを伝え広めています。こうした姿は地域に希望の灯をともし、確かな変化を生み出し始めています。

 

「ハートサポート」プロジェクトは、このようなピア・エデュケーターたちの主体的な活動を4年以上にわたって支え続けてきました。その結果、コミュニティの貧しい家庭の女の子の月経衛生管理の向上に貢献するだけでなく、プロジェクト終了後も自立的に活動を継続できる可能性も高まりました。

 

週末に開催されるマーケットに出店し、布ナプキンの普及と販売に取り組んでいます
週末に開催されるマーケットに出店し、布ナプキンの普及と販売に取り組んでいます。

 

プロジェクト期間は新型コロナウイルスの発生時期とも重なり、我々にとっても試行錯誤の連続となりましたが、常に現地の状況を第一に考え、柔軟に対応してくださった大王製紙株式会社様のお陰で活動を続けることができ、大変うれしく思っています。

 

アムダマインズはこれからも彼等の成長を温かく見守りながら、「生理が、あきらめる理由にならない世界」を目指して、彼等に伴走していくことが出来ればと思っています。

 

Star of George Youth Clubのメンバーと
Star of George Youth Clubのメンバーと(筆者:左から3人目)。

 

この記事を書いたのは
大谷 聡(おおたにさとし)
海外事業運営本部  プログラムコーディネーター


大学生の時に参加したタイでのスタディツアーや、クロアチアの難民キャンプでのボランティア活動が、国際協力の道をめざすきっかけに。卒業後、民間企業を経て、イギリスの大学院で公衆衛生学修士号を取得。2005年にアムダ海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。アフリカのシエラレオネやザンビアにて、保健プロジェクトに公衆衛生専門家として従事。ここ暫く、吹奏楽・マーチングバンド・太鼓にハマっており、日々YouTubeで演奏を見たり、各地の演奏会に出没して元気をもらっています!千葉県出身。

 

 


 

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