みんなで作って食べて栄養改善~持続可能な学校菜園を目指して~
海外事業運営本部 田中一弘

2025/11/13

今年4月より、公益財団法人味の素ファンデーション「食と栄養」国際助成プログラム(AIN)(公式サイトに移動します)の支援を受け、「栄養のバランスの取れた食習慣の普及を目指した持続可能な学校菜園推進事業」を3年計画で実施しています。

 

ホンジュラスでは、トルティーヤというトウモロコシ粉でできた薄いパンと、フリホーレスという黒インゲン豆(甘くないあんこのようなもの)が食事の中心となっていて、野菜や果物の摂取が少なく、栄養のバランスが偏っていることが問題となっています。

 

そこで、この事業では、学校菜園で栄養価の高い野菜や果物を栽培し、給食として食べることで、栄養のバランスを改善していくことを目指しています。対象は、エル・パライソ県のサン・ルカス市とサン・アントニオ・デ・フローレス市の小学校から高校までの12校(児童・生徒735人)です。

 

まず、事業開始時の状況を確認するため、200人の児童・生徒から食事の内容を聞き取ったところ、色の濃い葉野菜やビタミンAの豊富な野菜と果物の摂取が特に少ないことが分かりました。また、ほとんどの学校では毎日何らかの給食を提供していますが、全体的に炭水化物が多いという結果が出ました。

  • ベースライン調査の準備。200人の子どもの食事を聞き取るのは簡単なことではありません。こうした地道な準備が欠かせません
  • 学校菜園では児童・生徒みんなで協力して多種の野菜を育てています

調査の結果も踏まえて、学校の児童・生徒、教師、保護者らとも話し合い、学校菜園で多様な野菜を栽培することにしました。これまでも様々な事業で連携してきた現地NGO(GGUIA:グルーポ・ギア)の農業専門家が、環境にやさしい低コストの栽培方法を実践的に指導しました。

 

児童・生徒や教師、そして保護者らが世話をし、雨にも恵まれ、からし菜、シラントロ(パクチー)、かぼちゃ、きゅうり、玉ねぎ、赤かぶ、トマト、ピーマン、人参などの野菜を収穫することができました。収穫した野菜は、みんなで調理し、おいしい給食として食べています。その際には、栄養教育も行い、多様な野菜を食べることがいかに身体に良いかを伝えています。

  • 収穫した野菜を使った給食を食べる子どもたち。自分で育てた野菜の味は格別です。カメラを向けているので、ちょっと緊張しているかな?
  • 学校菜園で収穫した野菜を使って給食を準備しています

また、この学校菜園の活動を地域で支え、継続していくため、市役所、学校、家庭の連携も推進しています。市役所や各学校の教師、児童・生徒、保護者の代表による推進委員会が形成され、学校菜園への訪問なども行っています。

 

この事業で大切にしているのは、学校菜園が持続可能なものになることです。良いスタートが切れましたが、これからがより重要になってきます。今後も進捗をご報告していきたいと思いますので、みなさまの応援をよろしくお願いします。

 
 

この記事を書いたのは
田中 一弘(たなか かずひろ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


大学3年のゼミで、国連職員から難民支援について話を聞き「国際協力を仕事にすること」を決意。国際開発学修士を取得後、2000年にアムダ海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。アンゴラでの国内避難民支援など、アフリカ、中南米、アジアの様々な国・地域でのプロジェクトに従事。趣味はサッカー観戦。今年初めてJ1に昇格したファジアーノ岡山を応援しています。兵庫県出身。

 
 


 

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