とある日の食事 ホンジュラス事務所 奥田鹿恵子
「ホンジュラススタッフは日本のカレーライスが大好き」と聞き、いつかふるまおうと日本から持参していたルーの役に立つ日が、赴任5か月目にしてついにやってきました。市販のルーを使うとはいえ、カレーは各家庭で味が異なるもの。奥田家風カレーは、ホンジュラスのスタッフにも大好評で、まずはミッションクリア。
「次は、ちらし寿司にしようかな?いや唐揚げやトンカツも喜んでくれるかな?」と、すでに次の一時帰国時に調達すべき食材リストを用意し始めた今日この頃です。
そんな私ですが、もちろんホンジュラスの食事も毎日楽しんでいます。今回のブログでは、事業地に出張した、とある日の私の食事についてご紹介します。
朝食メニューは、野菜(ズッキーニやジャガイモ)の炒め物にチーズ、そしてコーヒー。ホンジュラスの主要輸出品目の一つであるコーヒー豆は、World Coffee Research「Annual Report 2020」によると世界第6位の輸出量を誇っていて、その質もヨーロッパ諸国やアメリカなどで高く評価されています。
日本でもホンジュラス産コーヒーがもっと知られるようになるといいな、と思っているのですが、実は約5年にわたって駐在した前任地のネパールも、徐々にコーヒーの知名度が上がってきている国の一つ。ホンジュラスコーヒーを飲みながら、ネパールのことを懐かしく思い出しました。
この日は、午前中から市役所関係者との会議に参加していたので、会議の主催者からランチがふるまわれました。メキシコや中米諸国で一般的な主食である「トルティーヤ」(トウモロコシ粉で作られた平たいパン、写真左)の他に並べられたのは、トウモロコシのピラフ、豚肉ステーキ、サラダ。
トルティーヤとピラフという炭水化物の組み合わせに、少し驚かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、お好み焼きをおかずにご飯を食べたり、焼きそばをパンに挟んで食べたりする食文化の中で育った私には何の違和感もなく、とても美味しくいただきました。
晩ごはんはどうしようかなと思っていたら、「一緒に作ってあげるよ」とスタッフが声をかけてくれたので、またまたごちそうになりました。朝食から夕食まで1日中、ごちそうになってばかりじゃないか!?と思われるかもしれませんが、事業地に出張している間は、食堂がなかったり、時間がなかったりするので、自分の料理を作るスタッフがそのついでに、私の分も作ってくれることが多いのです(もちろん材料費は払っていますよ!笑)
さて、この日の夕食は、私がホンジュラスに赴任してから最初に覚えた国民食「バレアーダ」です。小麦粉のトルティーヤにインゲンマメのペーストや卵、チーズなどを包んで食べるサンドイッチです。
小麦粉をアメリカ大陸にもたらしたのはヨーロッパの人ですが、ホンジュラスにおける小麦粉のトルティーヤは、なんと南アジアから影響を受けたという説があります。19世紀後半から盛んになったバナナ産業に関連するアメリカ資本の企業は、労働力の確保を海外に頼りました。歴史学者Julio César Zepedaによると、その外国人労働者の中でも、幹部職員に仕える料理人の多くはインドやパキスタンから連れてこられていたとのこと。その影響で、ナンやチャパティ、ロティなど、小麦粉や全粒粉を使用したパンがホンジュラスで紹介され、今では広く庶民に親しまれるアイテム「トルティーヤ」になったとか…。
この説を知ったのは、バレアーダを食べた後のことですが、かつて南アジアのネパールに駐在していた私にとっては、遠く離れた南アジアとホンジュラスとの意外なつながりを知ることができて、なんだかうれしくなりました。
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