停電が日常の日々によせて 海外事業運営本部 林 裕美

2024/10/29
4回目のザンビア出張となった9月、初めてホテルに泊まることになりました。「停電がひどい」と聞いたことが理由です。
 
これまでは住宅街にあるサービスアパートメント(長期滞在向けの宿泊施設。宿泊料が安価で、備え付けのキッチンで自炊できる施設が多い)に滞在していたのですが、そういえば、過去の出張でも一度、停電のために2日間ほど水が使えなくなったことを思い出しました。
 
限られた出張期間中、さまざまな業務をこなさなければならない中、停電や断水で時間を浪費するのは痛い、、、
 
ということで、停電時も自前のジェネレーター(発電機)を動かしてくれそうなホテルに宿泊することを決めたのです。
配水のための貯水タンク。電動ポンプで水をくみ上げるため、電気がなければ貯水できず、結局水は使えません
ザンビアへ到着し、色々な人と話をする中で、停電が私の想像をはるかに超える状況にあることが分かりました。
 
「停電」という一時的に電気が来ない状況というよりも、「通電」する時間があるかないか、つまり基本的に停電しているが、一日のうち数時間だけ電気の使える時間があるというのが実情でした。
 
しかも、通電する時間は夜中や早朝であることが多く、生活時間を多少それに合わせたとしても、普段の活動は十分にできません。水についても、ポンプでくみ上げて貯水したものを流す家が多いため、電気がなければくみ上げられず、タンクの水がなくなってしまえば使えません。
 
「電気が来たら、まず水を貯める!」「すぐスマホの充電」「夜中にまとめてメールをチェック」「洗わなくて済むよう、お皿にサランラップを敷いて使っている」
 
日本であれば、きっと大きなニュースになるであろう状況が日常になっていました。
ハートサポートプロジェクトで布ナプキンを作製するピア・エデュケーターたち。停電中も使える足踏みミシンの素晴らしさを改めて痛感。ただ、1台しかないため、枚数をこなすには時間がかかります

 
どうしてこんなに停電しているのか。それは、電力のほとんどを水力発電に頼っているザンビアで水不足が深刻化しているからです。今年は特に干ばつがひどく、作物も育ちません。気候変動の問題は、食料不足、貧困、そしてエネルギー不足にまさに直結しています。
 

ジョージコミュニティセンターの農場の様子。農地はあるものの、水不足もあって多くの作物を育てられていません

 
ホテルの部屋に戻れば、北向きで少し薄暗い部屋のため、電気を付けます。「電気がつく」のは日常なのか、天国なのか?お陰様で、私自身は出張期間中、生活に困ったことはありませんでしたが、周りが不便さに多少なりともストレスを感じている中、自分だけ申し訳ないなと、もやもやした気持ちで過ごすことになりました。
 
世界にはこれと同じような状況に直面している人々が、たくさんおられることと思います。生活上の快適さの差を当たり前だと受け止めない、そうした気持ちを胸に、できることを考え、実行していきたいと改めて思えた出張になりました。
 
 

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ザンビアスタッフブログ >>> こちらから
ハートサポートプロジェクトの紹介 >>> こちらから

 

この記事を書いたのは
林 裕美(はやし ひろみ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


1993年のカンボジア総選挙で、選挙監視の国連ボランティアとして活動していた日本人が現地で殺害された事件をきっかけに、国際協力に関心を持つ。大学卒業後、民間企業を経て2001年にAMDA海外事業本部(アムダマインズの前身)入職。カンボジアでのコミュニティ開発事業、インドネシアでの復興支援事業に従事後、2007年から現職。趣味のママさんバレー歴5年目にして、初のハーフ(中衛)センターポジションに四苦八苦。現在、猛特訓中!福岡県出身。

 

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