同乗者はお石さま 本部事務所 竹久佳恵
いつもは海外事務所からお届けしているTea Breakですが、今日は日本、岡山の本部事務所からのTea Breakです。 先日、1つのお皿に盛られたお菓子を、本部のみんなで分けながら食べていたところ、お皿に1つだけ、おかしがぽつんと残ってしまいました。いわゆる「遠慮の塊」ですね。こうやって日本では、最後の1つは遠慮して食べない…という文化がありますが、最後まで食べるべきか残すべきか、国や地域でも違うようです。カンボジアでは、最後にすこーしだけ残し、その残した分を地面や野原や川に供えます。そうやって、八百万の神様におすそ分けすることで、みなの平和と健康を祈るのだそう。美しい習慣ですよね。同じアジアでも、中国文化の影響が大きいベトナム北西部などでは、食べ物を平らげてしまうと「(ふるまってくれた人に対して)足りない」とか「美味しくなかった」ととらえられるため、少し残しておくことが礼儀。これは有名な話なので、ご存知の方も多いですよね。 海外で、こんな小さな文化習慣の違いを体感するといつも、自分の考え方、価値観とか生活そのものが豊かになる気がしたものです。 一番私が好きだった習慣は、ミャンマーの「お石さま」の習慣。一部の方、特にドライバーに強い信仰者が多いのですが、9人で車両移動するのは縁起が悪い(事故に遭うとか、車が故障するとか)と信じられています。その為、どうしても9人で移動しなければならない時は、道端でちゅうぶりな石を1つ拾い、その石を「お石さま(もう1人の同乗者)」とみたて、車の後部座席に乗せる習慣があります。お石さまが同乗すれば、全部で10人。これで縁起の悪い9人を避け、安全に移動することが出来ると考えるのです。そして無事に目的地に着いたら「お石さま、無事につきました。ありがとうございました」とまた、道端に石を戻します。特に、視界が悪かったり、土砂崩れが多発したりするような山岳地での道で、この習慣を実践するドライバーが多いようです。おかげでミャンマーではいつも無事故。お石さまありがとう! |