「山」出張記-前編 本部事務所 横畑 桃子
ミャンマー北西部に位置し、インドとの国境を有するチン州。標高1,800メートル級の山々に囲まれ、第二次世界大戦中、日本軍によるインパール作戦の通り道となった地域でもあります。ヤンゴンからは、チン州への入り口となるザガイン管区カレーまで飛び、長い長い山道を車で進んで行きます。走り始めると見る見るうちに標高が上がり、すぐに絶景を眺めることができました。青く澄んだ空と、視界360度を囲む山々。葉桜になりつつありましたが、「チンの桜」もこの素晴らしい景色に彩りを添えてくれます。とは言え、絶景にうっとりするのは一瞬で、永遠に続くかと思われる山道に途方に暮れ、ふと出現する崖に一抹の恐怖を覚え、たった1枚しかないCDから繰り返し流れるミャンマーポップスを頭に焼き付け、8時間進んだわけです。 今回の訪問先は、チン州の州都であるハカ郡。寒さのピークは1月だそうですが、朝晩は、本部事務所がある岡山と同じくらいの冷え込みに感じられました。 何より印象的だったのは、この町全体の景色です。山の斜面にカラフルな家々が立ち並ぶその景色は、ともすれば、ギリシャのような地中海沿いの町に見えませんか?(いや、言いすぎたか…そもそも山だし…)ミャンマー歴の長い同行者によると、こんなにきれいにペイントされた家は他の地域では見たことがないとのことでした。特に開発が遅れている地域とされているチン州ですので、私たちの驚きもさらに増すわけです。「この辺りの人は、食べるものがなくなろうが家づくりにお金をかけるんだよ」と冗談交じりに言っていた現地の人の言葉は、あながちウソではないのかもしれません。ちなみに、町の中心部から3時間ほど離れた村でも、程度は違えど同様の傾向を確認しましたので、「ハカ郡の人は家づくりを重んじる」説が秘かに強まっています。(私個人の中で…) 来月にはチン州の南部地域を訪問する予定です。「訪問先、宿泊先ともに標高2,000メートル」「車ではどの村にも行けない(=バイク+徒歩)」などなど、今からわくわくする情報ばかりです。北部のハカ郡とはまた違った景色をお届けできると思いますので、お楽しみに! |
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