社会が変化する中で私たちが光を当てるべきもの 海外事業部 白幡利雄
久しぶりにミャンマーへ出張する機会がありました。
国の玄関口であるヤンゴン空港のターミナルビルが、国際・国内ともに新しくなっていたり、タクシーをスマホのアプリで呼べるサービスが普及していたり、新しい巨大ショッピングセンターがさらに増えていたり…と、相変わらずの急速な発展ぶりを見せつけられました。
自然豊かな農村の風景も、ぱっと見ではあまり変わっていないように感じるものの、確実にいろいろな変化が生じてきています。3年ほど前までは数十万円出さないと買えなかったSIMカードが、いまや150円程度。スマホも安いものであれば5千円前後で手に入りますし、世界的なマーケットの関係で、村人も最初からスマホを使っています。まだ多くが通話や音楽を聴く程度にしか活用していないとはいえ、今後の可能性は計り知れません。
スマホ程度なら小型のソーラーパネルでも充電できますし、テレビは自動車のバッテリーでも見ることができます。が、電線を通じて電気が得られるようになると、大きな生活の変化につながります。地域の条件にもよりますが、自動織機が使えるようになり、工場の下請け仕事を個人で引き受ける例も出てきます。
道路が舗装されたり、橋が一本かかったりするだけで物流が劇的に変化する村もあります。病気や事故の際、病院への移動が楽になることは、言うまでもありません。
一方、小作や農作業の手伝いなどでなんとか暮らしを保ってきた家族が、夫を事故で失ったことで一気に極貧生活に陥ってしまったり、これまで産んだ子どもを5人、6人と亡くしてきたという女性が何人もいたりするなど、とても厳しい状況に置かれた人の話もたくさん聞く機会がありました。
車やバイクが増えた、スマホが普及した、といった変化に私たちはつい、目を奪われがちです。が、こうした社会の変化を見据えつつ、その恩恵に預かることができずにいる人々や地域に対して、その時その場所で必要とされることに、これまで以上に意識して視線を向けていかなければならない、という思いを新たにした出張でした。