ミャンマーの水かけ祭り ミャンマー事務所 渡辺陽子
ミャンマーの1年は毎年4月に始まります。その直前に行われる「ティンジャン」と呼ばれる水かけ祭りは、ミャンマーの人々にとって1年で最も大切なイベントで、水をかけることで1年の不幸やけがれを洗い流し、新年を迎えるという意味が込められています。先月の4月13日~16日にかけて行われた水かけ祭りの様子について、ご紹介します。
私は今回、水かけ祭りをはじめて体験する中で、多くの発見がありました。一言で「水をかける」と言っても、手で水をすくってやさしくかける、バケツや水鉄砲をつかってかける、ホースで放水する等、様々な方法があります。
まず、ヤンゴンでの水かけ祭りについてです。あちこちにステージが設置され、それぞれ数十本のホースが伸びています。さてこの後、どうなるのでしょうか。なんと、水をかけられるために、若者たちが車の荷台に乗り、ステージの前にやってきました。ステージ上のホースからは勢いよく水が放たれていきます。このぐらい激しく水を浴びたら、けがれや良くない物もきれいに流せてしまえそうですね。この日は4月16日、日本でいえば大みそかにあたるため、水かけ祭りも最終日。そのせいで、激しさもさらに増していたのかもしれません。
続いては、ミャンマーで2番目に大きいとされるインレー湖の水かけ祭りです。この湖は、観光地としてよく知られており、ボートに乗って寺院を訪ねたり、水上で暮らす人々の様子を垣間見ることができます。さて、もともと水が豊富にあるインレー湖では、人々はどのように水かけ祭りを楽しむのでしょうか。
湖では、写真のようにのどかな風景を見ながらボートでの移動を楽しむことができます。美しい自然にほっと気を緩めていると、突然やってきました。ミャンマー人観光客を乗せたボートが向かい側から近づいてきたので、お互いに手を振り、挨拶をしました。通り過ぎたと思った瞬間に、相手のボートから水をかけられていたことに気づきました。1年に1回のお祭りですから、湖上であっても水はかけられるのです。子どもたちは、手に水を溜められる容器を持ち、観光客を乗せたボートがやってくるのを楽しみに待ちます。
このような可愛らしい待ち伏せになれた頃、新たな水かけポイントが現れました。ある水上レストランの横を通り過ぎようとした時です。湖から汲み上げた水がホースを通り、非常に激しい勢いでボートに放水されます。ここまでは濡れないように日傘を差すなどの対策をしていましたが、さすがにこれは避けようがなく、しっかりと濡れてしまいました。でも一度、全身が濡れてしまえば、暑い日差しの中なので、かえって気持ちがよかったりもします。
水かけ祭りは、ヤンゴン、インレー湖以外にも全国各地で行われています。この期間は、普段のミャンマーでは味わえない、思い出深い体験ができることと思います。水かけ祭りに参加し、新たな発見をしてみてはいかがでしょうか。