スタッフの心に寄り添う警備員~ミャンマーの現地スタッフのご紹介 ミャンマー事務所 佐藤幸江

2018/09/13

ラショー事務所は、少数民族が多く居住するミャンマー北東部にあり、シャン族、ビルマ族、パラウン族、カチン族など様々な民族のスタッフが一緒に働いています。
 

山奥の村に向かうラショースタッフと筆者(右)
山奥の村に向かうラショースタッフと筆者(右)

 
個性の強い人が多く、ミャンマーにある全事務所のスタッフを集めたディナーでは、他の事務所スタッフが次々と帰っていく中、いつまでも残って楽しそうに飲み続けるラショースタッフ。ヤンゴンのホテルで、ディナー会場まで(車で)10分と言われ、歩いて10分だと思い込み、約1時間歩いて汗だくでやってきたラショースタッフ。大好きな事業統括が、ラショーで有名なスープを飲んで「美味しい」と言ってくれたのが嬉しくて、スープの材料を大量にプレゼントしてしまうラショースタッフ。雨期にはぬかるんだ山道を泥だらけになってバイクで走り、時には歩き、山奥の村まで通って活動しているラショースタッフ。よく村に寝泊まりし、丁寧に住民との信頼関係を築いてくれたラショースタッフ。村での長い滞在から戻ってきた日の夜は、ラショーで美味しそうにビールを飲むラショースタッフ。
 
ぬかるみにはまった車を押し動かすラショースタッフ
ぬかるみにはまった車を押し動かすラショースタッフ

 
そんな愛すべきラショースタッフを、いつも陰で支えてくれているのが、ラショー事務所で警備員をしてくれているタントゥンさんです。
 
事務所の敷地内を掃除するタントゥンさん
事務所の敷地内を掃除するタントゥンさん

 
タントゥンさんは元軍人ですが、その経歴を感じさせない優しい笑顔で、いつもスタッフを温かく見守ってくれています。70歳のタントゥンさんを、スタッフは親しみを込めて「アバ(ミャンマー語でおじさん)」と呼んでいます。朝の就業時間前、お昼休み、就業時間後には、タントゥンさんの周りに自然とスタッフが集まります。休日も「アバに会いに来た」と言ってスタッフが事務所に来たり、「アバに会いたくて」と言って元スタッフが事務所に立ち寄ったりするほど、スタッフから愛されているタントゥンさん。
 
スタッフの話を聞くタントゥンさん(右)
スタッフの話を聞くタントゥンさん(右)

 
そんな彼は、警備員としての業務だけではなく、現地スタッフのカウンセラーのような役割も担ってくれています。事務所に溶け込めずにいる新しいスタッフを見ると、笑顔で話しかけてリラックスさせたり、スタッフの心に寄り添い、相談に乗っている姿を何度も見かけました。スタッフは、上司に怒られたとき、同僚と喧嘩したときは泣きながらタントゥンさんに話を聞いてもらい、昇進したとき、良い結果を出すことができたときなどは彼に喜びの報告をします。タントゥンさんは、日本の学校でいう保健室の先生のような存在なのかもしれません。そんなタントゥンさんに支えられながら、現地スタッフは今日も元気に活動に励んでいます。