うみがめ便り~うみがめ、ついにインドへ上陸(序章)

2024/12/23

活気あふれるインドの鉄道駅。

 
前回の「便り」まで、当団体のウェブサイト上で複数回にわたり、アムダマインズの事業国ではないインドの話題を取り上げてきたが、つながりが皆無というわけではない。
 
事例を挙げると、アムダマインズはネパールでコーヒー栽培の技術の向上を支援しているが、収穫されたコーヒー豆は、インドのコルカタ港を経由して日本に輸出されている。その際、インド側において輸出書類の作成、輸送、倉庫管理、通関、貨物検査、船積み荷役などの業務や手続きが発生している。港湾運営の良し悪しはスムーズな貿易取引、そして何よりも生豆の品質維持の担保となる。
またアムダマインズは、過去複数年にわたりネパール国内で診療所の建設を支援してきたが、主な建築資材はインドから国境を越えて調達されている。

 
ネパールでの診療所建設風景。レンガ等国内で調達できないもの(鉄筋など)は、インドから調達している。

 
他方、約30名の医師で構成されるAMDAネパール支部は、近隣国における災害時の緊急救援や同国における様々な事業に取り組んでいる。その一環としてネパール国内4か所で病院、クリニックを運営しているが、インド製の医療機器、医薬品を調達しサービスを提供している。
 
すでにインドは医療関連製品の輸出大国である。皆様の記憶にもまだ鮮明に残っているコロナウイルス感染症(Covid-19)の猛威を食い止めることができた背景には、(ワクチンに効果があったという前提で述べると)間違いなくインドの貢献があった。Covid-19に限らず、数多くの感染症予防のためのワクチンや治療薬が、同国の工場で生産されている。
さらに、近隣国のみならず、高度医療を提供できていないアフリカ各国から、また医療費が高騰している先進国からも、大勢の患者をメディカルツーリズムの一環として受け入れている。そう、インドは医療大国でもある。

 
もちろん、急速な発展を見せている分野は医療業界だけではない。インドはIT大国でもあり、今後の急成長に対する高い期待から、世界から多額の投資が集まっている(外部サイト「インド株ファンド急拡大(日本経済新聞 2024.5.1)」に遷移します)。
iPhoneの上位モデルの製造も中国からインドへ徐々にシフトするとのこと。インドで生産されたオートバイや自動車をはじめとする陸送車両はアフリカや中東だけでなく、何と!中南米にも輸出されており、例えばホンジュラスの「過疎山岳地域」に住む患者が、印系TVSブランドの三輪タクシーを救急車代わりに利用して、アムダマインズが支援協力する病院へ駆けつけている様子を目撃した。かつて日の丸メーカーが席巻した市場において、インドのメーカーが陸送手段を供給する担い手となっている。

 
日本がその整備を支援した首都デリーの都市鉄道「デリーメトロ」。2列で整列乗車する様子は日本と変わらない。

 
そう、今後も世界とインドとのつながりが強化されていくことは間違いない。インド製品や人材など、インドのあらゆる資源を効果的に活用し、協力関係を維持発展させることが、国内外における成功の前提条件になると言っても過言ではない。これも言うは易し、行うは難しであるが・・・。
 
次回の「便り」では、最近インドの首都デリーを訪問した際の備忘録の一部をお伝えしたい。
 
 

 
 

この記事を書いたのは
鈴木 俊介(すずき しゅんすけ)
理事長


大学卒業後、民間企業に就職。その後国連ボランティアとしてカンボジアや南アフリカの業務に従事、様々なフィールド経験を通じて国際協力業界へのキャリアチェンジを決意。大学院で国際開発学を学び、ミャンマーにおける人間開発プロジェクトに従事した後、1999年、AMDAグループ入職。ベネズエラ、インドへの緊急救援チームを率いた他、ネパール、アンゴラ、インドネシアなどで様々な事業運営に携わる。2002年、AMDA海外事業本部長就任。2007年、AMDA社会開発機構設立。理事長就任。趣味は旅行、山羊肉料理の堪能。岡山のお気に入りスポットは表町商店街とオランダ通り。神奈川県出身。

 

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