住民たちの「平和」の行進始まる / ホンジュラス事務所 陰山亮子

2016/11/17
前日に会場を飾り付けするメンバー
前日に会場を飾り付けするメンバー

ホンジュラスは2016年3月から、治安改善を大きな目標に掲げ、首都テグシガルパ市南東部にて「住みやすいコミュニティづくり支援」事業を実施しています。
本事業では「自分の住むコミュニティを住みやすくしたい」と思っている人々がグループを組織し、地域住民を巻き込んで「住みやすいコミュニティ」を目指した活動を計画・実施しています。11月5日に開催された「平和のための行進」のイベントについて紹介します。

「平和のための行進」に至る背景
「平和のための行進」が開催されたのは、近年、青少年が被害者となる殺人が多発している「アト・デ・エンメディオ(Hato de Enmedio)地区」です。残念ながら今年は、青少年が殺されるという事件が頻発しました。コミュニティ・グループのメンバーは地域の解決すべき大きな問題を「治安改善」と認識し、この度、住民一人一人に呼びかけ、平和のための行動への参加を求める「平和のための行進」を計画しました。
アト・デ・エンメディオ地区のコミュニティ・グループは、14人の青少年、7人の大人という様々な年齢層の21人で構成されています。青少年の中には、同じ高校の同級生が殺されてしまった子もいて、今回の行進には特別な思い入れがあったようです。

イベント準備
行進のスローガンは「No hay camino hacia la paz, la paz es el camino(平和への道はない、平和こそ道である)」。テーマを決めてからは、地域警察と道路閉鎖を含む行進ルートの打ち合わせ、行進後の「平和のためのコンサート」を演奏してくれる音楽団への協力依頼、コンサート会場となる小学校の保護者会への説明と会場飾り付け、行進用の横断幕作成、コミュニティ内での事前広報と、盛沢山の準備が必要となりました。
グループの青少年たちの中には、学校内での素行が良いとは言えず、宿題をしていかなかったり、先生の授業を妨害したりしてしまう生徒もいて、学校の先生たちからは、「あの子が地域の活動に取り組めるとは思えない」と言われていた子もいました。しかしながら、自らの意思で参加したいと決め、自らの希望でテーマを設定した子どもたちの意欲は、ものすごいパワーを発揮しました。開催1週間前には毎日、大人たちと一緒にコミュニティ内を歩いて回り、イベントを呼びかけるチラシを一軒一軒配って回り、前日には夕方遅くまで、会場準備をしました。

行進当日
準備に準備を重ねて臨んだ行進当日。青少年たちは、普段、学校内で見せたことのない、何かに熱中しているような真剣な表情。役割分担通りにそれぞれの配置につくメンバー。一人ひとりが自分の役割を成し遂げ、約500名の地域住民の参加・支援を得て、行進が無事に終了しました。この行進を機に、是非コミュニティのために一緒に活動したい、という人々も現れました。

住みやすい平和なコミュニティを目指して
メンバーが組織されて初めての活動となりましたが、今後もメンバーは、自らの手で作り上げていく理想の「住みたいコミュニティ」のための活動に意見を出し合い、活動を継続していきます。

参加者それぞれが平和へのメッセージを作成し、これを掲げて行進した
各自で作成した平和へのメッセージを掲げて行進

横断幕を掲げて行進する様子
横断幕を掲げて行進する様子

メンバーの希望で日本語の横断幕も作成された
メンバーの希望で日本語の横断幕も作成された

小さな子どもたちも参加し、平和を願う
小さな子どもたちも参加し、平和を願う

行進のルートを確保するため通行止めに協力する地域警察官
行進のルートを確保に協力する地域警察官

行進をするうちに地域の人々が集まってきた
行進をするうちに地域の人々が集まってきた

行進に賛同しブースを設置した現地NGO
行進に賛同しブースを設置した現地NGO

コンサートの最中に踊りだした地域住民
コンサートの最中に踊りだした地域住民