ホンジュラスで緊急搬送用の車両を贈呈しました
5月19日、首都テグシガルパ市において、ヤウユペ市役所へ緊急搬送用の中古車両を贈呈しました。
贈呈には、ヤウユペ市のフランクリン・パルマ市長、エル・パライソ県保健事務所長のインディアーナ・アルヘニャル医師、当団体より浦上が出席し、贈呈書への署名を行いました。
ホンジュラス事務所では、立正佼成会一食平和基金のご支援で、「ヤウユペ市における保健医療サービスへのアクセス向上事業」を実施しています。ヤウユペ市はエル・パライソ県南部の山間地域に位置し人口約1,500人を抱えますが、保健医療サービスへのアクセスが、地形的にも、保健所の機能的にも困難な状態にあります。
ヤウユペ市では、緊急搬送が必要な傷病者や妊産婦の搬送が、昼夜を問わず、月に10~15件程度あり、多い日には、夜中にヤウユペ市とテグシガルパ市を2往復したこともあるそうです。保健所には救急車がなく、緊急搬送の際に活躍していたのは、ヤウユペ市役所が所有している1987年式のピックアップトラックでした。日除けや雨除けのない荷台に患者を乗せて、舗装されていない山道を走行するため、乗り心地は悪く、故障にも度々見舞われていましたが、これが唯一の搬送手段となっていました。
ヤウユペ市のパルマ市長は、このような状況に鑑みヤウユペ市民の保健医療サービスの向上の為に、搬送に適した車両を調達すべく尽力されてきました。そのような中、2014年から昨年まで、同地域で母と子のプライマリーヘルスケア向上プロジェクトを実施していた当団体が、パルマ市長と協議を重ね、緊急搬送用の車両の必要性を確認し、本事業の申請に至りました。
中古車両を受け取ったパルマ市長は、感無量の様子で、感謝の言葉を述べられました。
「市民のよりよい生活の為に取り組んでいますが、我々のように山間部の末端にある貧しい市役所において、熱意はあっても市民に十分なサービスを提供できないもどかしさを感じていました。しかし、今日、市長としての長年の夢が一つ叶いました。市民の喜ぶ顔が浮かんできます。この車両を大事に使用し、より多くの市民のために役立てます。一食平和基金の皆さまには、ヤウユペ市民を代表し、心より感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございました。」
今後、ヤウユペ保健所と協力して、保健ボランティアへの研修を通じ、妊産婦やその家族が安全
なお産を迎えることが出来るよう、啓発活動を行います。保健医療サービスへのアクセスが難しい山間部では、妊産婦を安全な出産に導き、妊婦の緊急搬送体制を整えることは、村全体の課題です。保健ボランティアを含む住民組織、保健所、市役所が連携を密にし、緊急搬送時の対応が上手く取れるよう支援していきます。
なお、ヤウユペ市民に、いち早く緊急搬送サービスを提供したいとのパルマ市長の強い思いから、まず車両の贈呈を行いました。現在、同車両に設置する荷台カバーを調達しているところです。