ミャンマー北東部の村に地域保健センターが完成! ミャンマー事務所 佐藤幸江
AMDA-MINDSが建設を支援したマイヨー地域保健センターが完成しました。
地域保健センターは、病院へのアクセスが難しい農村部に居住する住民にとって最も身近な公的な医療保健施設です。地域保健センターには補助医師や助産師などの保健スタッフが常駐しており、妊産婦健診や出産介助、予防接種などの保健医療サービスを提供しています。マイヨー地域保健センターは、私たちが活動しているラショー郡の3村区を含む5村区38村を管轄しています。
ラショー郡は、ミャンマーの中でも少数民族が多く住み、開発が最も遅れている地域の一つとして知られるシャン州北部に位置しています。活動地は同郡東部の山岳地帯にあり、産前健診の受診率が20%に満たず、70%以上の女性が医療従事者の分娩介助なしに自宅で出産しています。基礎保健サービスが行き届いておらず、30%以上の世帯が5歳未満児を亡くした経験があるなど、母子を取り巻く状況が深刻なため、こうした状況の改善を目指し、「シャン州ラショー地区における水と衛生・保健改善プロジェクト」を外務省「日本NGO連携無償資金協力事業」として、2016年2月に開始しました。他の少数民族居住地域で培ってきた長い活動経験を活かし、母子保健に関する状況の改善や、衛生的な飲料水の確保、トイレの普及などに取り組んでいます。
これまで、母親集会を通じて母子保健に関する知識の浸透を図ると同時に、地域保健センターに駐在する保健スタッフへの研修や巡回活動を支援してきました。その結果、保健医療サービスへのニーズが高まり、産前健診を受診した女性の割合が事業開始時の18%から事業1年目終了時には32%に改善しました。このうちマイヨー地域保健センターで受診したと回答した女性は16%から43%になっており、住民による同地域保健センターの利用が大幅に増加しています。
今後も利用者の増加が見込まれる一方で、既存の地域保健センターは65年以上前に建てられたもので老朽化が著しく、分娩室、診察室、待合室がないなど、安全面や衛生面に問題がありました。予防接種の日には子どもを連れた多くの母親が訪問しますが、センターに入りきれず、外で順番を待たざるを得ない状況におかれていたこともあり、住民が安心して保健医療サービスを利用できる環境を整えるため、同地域保健センターの建設を支援することにしたのです。
建設に使用した川砂の一部は村人が提供し、旧センターの解体作業はマイヨー村区の行政局が請け負うなど、地域が一丸となって新しい地域保健センターの建設に取り組みました。完成したマイヨー地域保健センターには、これまではなかった分娩室、診察室、待合室が整備されていることはもちろん、入り口にはスロープが設置されており、妊娠中の女性や子ども、お年寄り、足が不自由な方などが安心して利用できる工夫が施されています。
完成した地域保健センターを多くの住民が利用し、健康を維持・増進できるよう、引き続き支援していきたいと思います。