国際女性デーによせて~地域を、人生を変えゆくネパールの女性イノベーターたち~ ネパール事務所 小林麻衣子
みなさん、ナマステ(こんにちは)!
毎年3月8日が「国際女性デー」として祝われていることを、みなさんはご存知でしょうか?ネパールでは国民の祝日に指定されていて、政府や国際機関はもちろん、多くの民間企業もお休みとなります。そもそもの起源は、1904年3月8日に、ニューヨークで女性労働者が婦人参政権を求めてデモを起こしたことを受け、この日を「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念日とするよう、1910年に提唱した人がいたことです。その後1975年になって、国連がこの日を正式に「国際女性の日」と定めました。
私は、2008年からネパールとかかわり始めて以来、10年以上が経過しましたが、この間にネパールの女性たちもたくましくなったなあ、と思うことがいくつかあります。
例えば、私たちが実施している母子保健プロジェクトでは必ずお世話になる、コミュニティ女性保健ボランティアのみなさん。2008年にプロジェクトを始めた当初は、子どもの体重計の針を読むのもおぼつかない様子だったのですが、10年の間に、さまざまな援助機関が開催する数々の研修を受けて知識を蓄えてきた彼女たちは、今では、「もう基本的なことは全部知っているから、もっと独創的な新しいことを教えてちょうだい!私たちだって子育てや家事に忙しいんだから、ありきたりな内容じゃ研修に行かないわよ!」と主張するまでになりました。
先日始まったばかりのダン郡での母子保健プロジェクトでも、女性保健ボランティアさんたちに研修を行う活動を予定しているのですが、彼女たちに満足してもらえる内容を考えなければ、とスタッフたちと張り切って準備しているところです。
そして、日々の忙しい生活の中でも笑顔を絶やさない女性たちの姿にも感銘を受けます。
カブレ郡で実施している農業プロジェクトでは、地道に頑張っている農家さんの中には、必ずといっていいほど元気なお母さんがいます。例えば、標高1,800mの急斜面にある村で、ビニールハウスによる有機野菜の栽培を続けているウルミラさん。彼女は2児の母であり、大家族のお嫁さんであり、はたまた村の学校の先生であり(毎日40分かけて、急斜面を歩いて通勤しています)、更には農業組合の理事でもあります。
そんな、とにかく忙しいはずのウルミラさんに、一度尋ねたことがあります。「ただでさえ忙しい毎日なのに、プロジェクトがやってきて、やれ有機農業だ、やれミーティングだ、って余計に大変になっちゃったんじゃない?」すると彼女は、「そりゃあ大変よ!ぼかし肥料(プロジェクトで普及を推進している有機肥料)も毎日作らないといけないしね!でもね、この大変さが村の未来や子どもたちのより良い将来につながる、と思ったら、そのために自分が役に立てていることがうれしいの。」と笑顔で答えてくれました。
このメンタリティ。もう、頭がさがるばかり。絶対にかなわない、と思います。ですがせめて、彼女たちの底抜けの笑顔だけでもまねさせてもらおう、とこっそり鏡の前で訓練している私です。
村での日々の生活、そして果たすべきたくさんの役割を抱えている彼女たちは、「国際女性デー」の日も休みなく働いているのでしょう。けれども、今年のこの日を、そしてこれからの毎日を、彼女たちがいつもと変わらぬ笑顔ですごしていられますように、と願っています。
多くの女性や女の子が、明日への希望をもって生きるために、あなたの支援が必要です
世界ではいまだ多くの女性や女の子が、公共サービスへのアクセスから取り残され、人生の可能性を阻害されています。
例えばネパールでは、2030年までに国内の健康格差是正を目標に、様々な取り組みが進められていますが、特に僻地に住む母子の健康改善は喫緊の課題で、4人中3人の妊婦が産前健診を受けたことがない、2人に1人の子どもが麻疹風疹の予防接種を受けられないような地域もあります。私たちはいまそのネパールで、母子を誰一人取り残さないため、公的保健医療サービスの強化にとりくんでいます。
彼女たちが明日を笑顔で過ごせるよう、毎月1,000円からの継続支援「マンスリーサポーター」になってくださいませんか?
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生まれ育った国や環境のために、苦しい思いをしている人々が沢山います。
マンスリーサポーターとは、毎月20日*に自動口座振替(クレジットカードでもOK**)で、定額をご寄付いただく支援方法です。継続的なご支援は、地域に寄り添った息の長い活動を可能にします。
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- 幼少期の栄養不良は、免疫力低下や知能の発育を遅らせる可能性があります。ネパールの低体重の子ども1人の1週間分の栄養プログラムが提供できます。
- 「生まれてきてくれてありがとう。」を増やすために、妊婦さんに清潔で安全なお産に必要な出産用具を配布します。
- 妊娠中のお母さんの栄養管理は、生まれてくる赤ちゃんにもとても重要。ホンジュラスの山間部に住む妊婦さん50人に栄養ある食事を提供します。
マンスリーサポーターからのご支援で、多くの女の子が笑顔で過ごせるようになっています。
例えばホンジュラスのある中学校で働くマイラ先生はこう語ってくれました。「わたしはこれまで、小学校を卒業すると同時に妊娠し、学校を辞め、人生の夢を諦めざるを得なくなった10代の女の子を数多く見てきました。10代で妊娠したのですから本人の身体の負担ももちろん、ご家族の経済的な負担も少なくありませんでした。日本からのご支援により、子どもたちのなかからリーダーを育て、地域・学校・PTAが一丸となってリプロダクティブヘルスライツの重要性を啓発したことで、若年妊娠が減っただけでなく、妊娠・出産した女の子も学業を続けられるようになりました。10代の女の子の可能性が広がっているのです」