自由を取り戻すために
海外事業運営本部 奥田鹿恵子

2026/08/24

8月16日は、ドミニカ共和国で「再興戦争(Restoration War)」と呼ばれる激しいゲリラ戦の開戦を記念する祝日でした。毎年、全国各地で記念式典や演劇・演奏会等のイベントが開催されていて、今年もまた、他国の支配から自由を取り戻すために血を流して戦った英雄たちを称え、多くの人々が記念日を祝いました。

  • 1863年、日本は幕末で新選組が結成された頃ですが、地球の裏側のドミニカ共和国では、スペインからの再植民地化に反対した民衆が蜂起し、8月16日に再興戦争が始まりました。1821年に一度スペインからの独立を宣言したものの、その直後にハイチに占領され、1844年にようやく独立。しかし、わずか17年後の1861年に、またスペインに併合されてしまったのです。

     

    この再併合は、経済危機やハイチからの攻撃を心配した当時のドミニカ共和国初代大統領、ペドロ・サンタナからの保護要請を受けてのことだったのですが、実際にスペインの統治下になると、彼は新しい州の総督に任命されたものの、自分の権力が行使できないことに不満を持ち、すぐに辞職したそうです。

  • 再興戦争中の首都、サンティアゴ・デ・ロス・カバジェロスには、「再興の英雄の記念碑」が立つ

 

再興戦争は約2年間続き、戦死・戦病死を含めて5万人以上の犠牲者を出した末、アメリカによる介入の可能性や戦費の負担を考慮したスペインが手を引くことで終結し、ドミニカ共和国は再び独立を果たしました。その後は独立国家としての歩みを始めましたが、独裁体制や内戦など、長期にわたって混乱が続きました。1900年代以降はアメリカの軍事介入を経て、近年では中国の存在感が増すなど、中南米地域における米中の覇権争いが熾烈になる中、現ドミニカ共和国政府は、両国との友好関係を維持していく姿勢を示しています。

 

原爆の日や終戦記念日のある8月の日本は、戦争と平和について深く思いを致す時期です。歴史的背景は異なりますが、ドミニカ共和国の再興記念日も、国民の絆と誇りを分かち合うだけでなく、過去の出来事を振り返り、平和に対する想いを一つにする機会になっている点は共通しています。

 

私自身、さまざまな映像や記事を通じて、日本やドミニカ共和国に関わる戦争について学び、考え、そして平和構築に貢献したいという気持ちを新たにしました。歴史を学び、過去について知ることで、現在に至るまでの背景を理解し、より良い未来を築くためのヒントを得ることもあります。アムダマインズが教育事業を実施しているバオルコ州の子どもたちも、先人が苦難の中で何を守ろうとしてきたのかを知り、自分たちの未来について考え、切り拓いていく力を育んでほしいと切に願います。

 

海外協力隊時代にであった子どもたち(2013年撮影)

 
 
 

この記事を書いたのは
奥田 鹿恵子(おくだ かえこ)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター


ブラジルやメキシコの子どもを支援する団体でボランティア・インターンをしたことが、国際協力の道をめざすきっかけに。民間企業での市場調査、NGOでの広報業務、JICA海外協力隊(中米ドミニカ共和国でのコミュニティ開発)を経て、2015年にアムダマインズ入職。10年間の海外駐在を経て、今年は岡山本部で勤務中。自転車を購入せず、往復1時間の徒歩通勤を続けることが今年の目標。奈良県出身。

 
 


 
 

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