国際女性デー2023に寄せて

2023/03/08

3月8日は、国際女性デーです。
今年のテーマは、「デジタルジェンダーギャップが経済的および社会的不平等の拡大に与える影響を調査しよう*」。
*詳しくは、UN Women 日本事務所公式ウェブサイトをご覧ください
 
就労、教育、政治参加、そして健康。
残念ながら、さまざまな分野におけるジェンダー格差はいまもなお大きく、世界経済フォーラム(World Economic Forum:WEF)が2022年7月に発表した報告書(内閣府の関連ページへ移動します)によれば、日本は評価対象146か国中、116位。これは先進国の中で最低レベル、ASEAN諸国と比べても低い位置付けです。

デジタル技術の進歩は世界を分断するあらゆるボーダーを形がい化し、私たちは、物理的な距離を超えてヒト・モノ・カネの動きをコントロールすることができるようになっています。ただしこれは、「それ」にアクセスできる人だけが受けられる恩恵。進歩はときに、誰かを置き去りにするリスクを抱えています。
一方、女性のエンパワーメントを推進することで、イノベーションの創出と世界経済のボトムアップにつながることが大いに期待されています。
 
 
アムダマインズはいま、聖心女子大学(東京都渋谷区)で開かれている女性と健康をテーマにした企画展で、ネパール・ホンジュラス・ザンビアの活動を紹介する特別展示を行っています。
 
3月1日には、オンラインギャラリートークを開催。
パネルや展示物について、プロジェクトの概要、活動中のこぼれ話などをご紹介しました。

学生からの質問に答えるアムダマインズ職員 山上

 
国際女性デー2023に寄せて、今回は、特別展示を行っている3つのプロジェクトから、一部を抜粋してご紹介します。
 
 

ネパールの女性にがん検診の機会を

対象地域では女性の3人に1人が、がん検診の存在を知りません。啓発活動では、丁寧でわかりやすい説明を心がけています

 
首都カトマンズ市に隣接するゴカルネシュワル市で、乳がん・子宮頸がんの早期発見を目的に、スクリーニングキャンプ(集落や診療所へ医療チームが出向く出張検診)と啓発活動に取り組んでいます。
ネパールでは、がんは「治らない病気」だという考え方が一般的です。それは、多くの人々が検診の存在を知らないから。病院は病気になってから行くところだから、ちょっとやそっとの不調は気合いで乗り切ろうとし、気づいたときには手遅れ…。「知らない」ということが、死につながってしまうこの現実を、よくある話だなんて言いたくありません。自分のことはそっちのけで、毎日、家族のためにがんばるお母さんたちには、どうかこれからも笑顔でいてほしい。

プロジェクトでは、出張検診によって受診者の経済的な負担を減らしたり、啓発を通じて検診への不安を取り除いたり、女性の医師やスタッフを医療チームに加えることで検診者の気持ちに配慮したりするなど、様々な工夫を凝らしながら活動に取り組んでいます。これまでに3,513人の女性が、乳がん・子宮頸がんのスクリーニング検査を受診しました(2022年12月時点)
この活動は第一三共株式会社との協働パートナーシップで実施しています。

 

プロジェクトの詳しい情報はこちらからも
「自分のからだ、大事にするわ」女性たちの大きな決意
インタビューOur Stories(第一三共株式会社のウェブサイトに移動します)

 
 

妊婦であることを楽しみ、安心して出産できるように(ホンジュラス)

妊婦に正しい知識が伝わるよう、伝統的産婆の理解度を確認しています

 
ホンジュラスの村には地域のお産を引き受ける「伝統的産婆」がいます。彼女たちは自宅出産で最も頼りになる存在。けれど、安全安心なお産のためには、リスクを早期発見できる超音波検査や血液検査が必要だったり、設備の整った保健所等での分娩を選択する必要があったりします。プロジェクトは保健ボランティアや伝統的産婆への研修、保健所との連携強化とともに、保健所への資機材提供や医療スタッフへの技術研修を行うことで、妊婦が周産期を健康に過ごし、安全な出産を選択できることを目指して活動しています。
研修に参加したある伝統的産婆は、「地域の妊婦みんなが安全に出産できて、母子ともに無事でいることが何より」と、検査の重要性や施設分娩の啓発をサポートしてくれるようになりました。

この活動は外務省、相模原橋本ロータリークラブ、生活協同組合おかやまコープからのご支援、ならびに皆様からのご寄付により実施しました。また、2023年には外務省NGO連携無償資金協力の継続により、母子手帳の導入などを通して、支援の手が届きにくい山間部でも、妊婦が妊娠期を楽しみ、安全に出産に臨めることを目指し、活動していきます。
 

プロジェクトの詳しい情報はこちらからも

 
 

生理が、あきらめる理由にならない世界へ(ザンビア)

プロジェクトのシンボルマーク「ハート」を作って、感謝の気持ちを表すザンビアの若者たち

 
「これで私の人生は変わる!」
ある女の子が、プロジェクトの支援で作られた布ナプキンと出会ったときの言葉です。
ザンビアには、生理用ナプキンが手に入らない女の子がたくさんいます。生理中は外出しない子も少なくありません。この言葉を聞かせてくれた彼女もその一人。生理のたびに学校を欠席したため、授業についていけず、卒業試験に2度落ちてしまったそうです。けれど、布ナプキンのおかげで不安なく学校に通えるようになったこと、そして、将来医師になりたいと考えていることを話してくれました。

アムダマインズはザンビアで、男の子も含む思春期層とともに、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)に関する啓発と布ナプキンを製作・普及する活動に取り組んでいます。これは大王製紙株式会社「ハートサポートプロジェクト」との協働で実施しています。

2021年度に大王製紙が日本国内で実施したキャンペーンは、2週間で5,100枚以上の布ナプキン製作の支援につながりました。日本から約13,000km離れたザンビアで、一枚の布ナプキンが一人の女の子の夢を支えています。その笑顔や夢が、もっとたくさんの若者たちにも広がるよう、活動を続けていきます。
 

 

プロジェクトの詳しい情報はこちらからも