変わること、変わらないこと、そして変わりつつあること
海外事業運営本部 大谷 聡
コロナ禍により日本からの遠隔業務を余儀なくされてから1年2ヵ月、ようやくこの5月にシエラレオネへ戻ってくることができました。日本でPCR検査を受けた後、陰性結果と個人情報を入力してまずは旅行許可証を入手。現地の空港に到着してから改めて滞在時の詳細情報を伝え、迅速検査とPCR検査。前者が陰性となってからようやく空港を出ることができ、後者が陰性と分かるまでは自主隔離でした。
驚くべきは、同国が空港を再開した昨年の7月からこのシステムを採用していること。新型コロナウイルスが世界でまん延し始めた当初から、シエラレオネ政府の対応は迅速でした。2014年にエボラ出血熱の大流行で甚大な被害を被った経験に学び、大きな行動変容につなげただけでなく、これまでのところ結果を残しているのは、本当に素晴らしいことだと感じています(2021年6月30日時点での新型コロナウイルスの累計感染者数は5,575人、感染率は人口比で0.07%)。
一方で、シエラレオネの国内では、以前と大きくは変わらない緩やかな時が流れています。変わらないと言えば、少し話が飛びますが、以前から気になっていたことの一つに、シエラレオネにおけるゴミのポイ捨て問題があります。道を歩いているとそこら中にゴミが捨てられていて、雨季になるとあちらこちらの排水溝にそのゴミが詰まって冠水することもしばしば。今回の滞在では、海の近くに滞在していたのですが、海岸通り沿いにゴミ箱がたくさんあるにもかかわらず、残念ながら海岸にはゴミが散乱していました。
日本でもゴミ問題を身近に感じる機会が多く、時々、近所でゴミ拾いをしたり、趣味のジョギング中にゴミを拾ったりしていいます。今回のシエラレオネ滞在中も、できる範囲ではありますが、ジョギング時にゴミを拾ってゴミ箱に捨てていました。そんなある朝、いつもより遠出をして海岸を走っていると、地元の若者たちが大掛かりなゴミ拾いをしているではありませんか。
話を聞いてみると、「海岸や海がどんどん汚れ、漁をしていても魚よりゴミの方が多くとれる始末。自分たちでできる範囲でゴミを拾い、海岸を綺麗にしていこう」と頑張っているボランティアグループでした。まさに捨てる神・・・ならぬ「捨てる人あれば、拾う人あり」。
2014年から7年にわたり関わっているシエラレオネですが、色々なことを経験しながら一歩ずつ前に進んで、変わりつつあることを知ることができ、とてもうれしい気持ちになりました。
大谷聡(おおたにさとし)
海外事業運営本部 プログラムコーディネーター
大学生の時に参加したスタディーツアー(タイ)や、難民キャンプでのボランティア活動(クロアチア)が国際協力の道をめざすきっかけに。卒業後、民間企業を経て、イギリスの大学院で公衆衛生学修士号を取得。2005年にアムダ海外事業本部(AMDA-MINDSの前身)入職。アフリカのシエラレオネやザンビアにて、保健プロジェクトに公衆衛生専門家として従事。趣味はジョギング、アウトドア活動、旅行、スポーツ観戦。岡山のお気に入りスポットは、旭川・百間川沿いのジョギングコース。千葉県出身。