言語景観から感じる文化 ホンジュラス事務所 奥田鹿恵子
私が以前駐在していたネパールでは、街中いたるところに看板があって、ネパール語を学ぶためのいい教材になっていました。
ネパールに比べると看板の数が少ないホンジュラスですが、あらゆる視覚情報を通じて驚きや面白さに出くわすことがあります。
新聞広告に競走馬?!
家や車の売り出し情報はよく見かけますが、馬は初めて見たので、びっくりしました。
新聞広告に掲載された5歳の競争馬の売り出し(誌面右から2列目の上段)
伝統的な競馬大会が行われている地域があるそうで、この馬も今頃はそのようなイベントで活躍しているかもしれません。アムダマインズの事業地でも馬は移動手段の一つとして日常生活に欠かせないもので、カウボーイハットをかぶって乗りこなす村人を見るとかっこよくて、つい目で追ってしまいます。
他にも、一面を使った故人に対するお悔やみメッセージや被害者を含む犯罪・事故現場の生々しい写真をこちらの新聞で初めて見た時も、大きな衝撃を受けました。
公園にドンとそびえるオブジェは…?!
ホンジュラスに来て興味をひかれたことの一つが、市の中心地の構造がどこも似ていること。市役所、教会、公園があり、その公園には市の名前の大きなオブジェクトがドンと設置されています。
公園にある市の名前(サンルカス市、SAN LUCAS)のオブジェで記念撮影中央筆者)
一文字ずつ色が違うカラフルさは、とてもラテンアメリカらしい!アムダマインズの事業地の公園もきれいに整備されており、ちょっとした運動器具やステージが備わっているところもあって、住民の憩いと交流の場になっています。
院内案内図にも工夫が凝らされています
首都の大学教育病院は、アムダマインズの事業地を含め、全国から患者さんが来るので、いつも混雑しています。リハビリテーション科、産婦人科、リウマチ科、がん科、眼科、血液センター等、多岐にわたるサービスを提供している分、部屋数も多く、初めての訪問者は迷子になりそうです。
病院の院内案内図。フロア図(右側)と診察科のリスト(左側)を番号とピクトグラムで照合できる。
一見、複雑そうに見える案内図ですが、文字を読むことができない人に配慮して、色や絵で示してくれているのは親切ですね。
日本語を発見!
有機肥料製造を強化するため、天然資源・環境省が自治体に150万レンピーラ(約900万円)を支援することがニュースに取り上げられるなど、有機農業への関心の高まりが見て取れます。
ボカシ肥料の販売表示(一番上には、ボカシのスペイン語表記「Bocashi」が)
このボカシ肥料は、一袋20ポンド(約10kg)あたり55レンピーラ(約330円)で販売されていました。袋の説明書きには「野菜くずや家畜のふんを主原料として発酵させた有機肥料です」とあります。「ボカシ」という名前は日本でつけられたそうで、日本の言語や技術が世界に広まっていてうれしいですね。
無視された看板…
「ごみを捨てたら罰金3,000レンピーラ(約18,000円)」と記された看板の横でごみを燃やす煙がモクモク。残念ながら看板の効果はなく、他の対策を講じる必要がありそうです。
首都テグシガルパ市は観光客が少ないせいか、スペイン語以外で表記された標識や看板を見たことがないのですが、ホンジュラスの中でも有名なビーチや遺跡を有する地域には多くの外国人が訪れるため、また違った言語景観を楽しむことができるかもしれません。
これからも行く先々で興味深いものを見つけたら、またご報告します。
奥田鹿恵子(おくだかえこ)
ホンジュラス事業 業務調整員
ブラジルやメキシコの子どもを支援する団体でボランティア・インターンをしたことが、国際協力の道をめざすきっかけに。民間企業での市場調査、NGOでの広報業務、青年海外協力隊(中米ドミニカ共和国でのコミュニティ開発)を経て、2015年にアムダマインズ入職。趣味はYouTubeで楽しむマーシャルさんとのダンス・エクササイズ、映画鑑賞。岡山で過ごすお気に入りの時間は、岡山城や後楽園脇を流れる旭川沿いの散歩。奈良県出身。
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