子どもたちの明るい未来のために 青年海外協力隊 南迫麻衣 

2017/11/01

ホンジュラスのエル・パライソ県で実施中の保健事業で連携している青年海外協力隊員の方々にご登場いただく第3弾です!前回の記事はこちら

今回は、「安全なお産支援事業」にて超音波診断装置を導入したダンリ市サンタ・マリア保健所/母子保健センターで看護師として活動されている南迫さんに、現地の医療事情と課題を伝えていただきます。

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青年海外協力隊の看護師隊員として、ホンジュラスのエル・パライソ県ダンリ市のサンタ・マリア地区にある保健所と母子保健クリニックが併設された施設で活動しています、南迫麻衣と申します。

県内は主にトウモロコシやコーヒーの産地であり、県内国内生産量は1位、国内今年度のホンジュラス内で行われたコーヒーのコンテストではダンリ産のコーヒーが優勝するなど、有名な産地です。私の活動するサンタ・マリア地区は主要都市のダンリ市中心からバスで二時間程離れた田舎で、ネット環境や水環境が未だに十分には整っていない人口10,000人ほどの村です。

配属先の同僚と資料整理中の南迫さん(左)
配属先の同僚と資料整理中の南迫さん(左)

エコー事業に参加する南迫さん(右)
エコー事業に参加する南迫さん(右)

ここで私の活動について紹介します。

ホンジュラスでは若年妊娠が多く、ここサンタ・マリアでも診察に来る妊婦の3人に1人は10代の妊婦です。若年妊娠はそれだけでハイリスクであり、母子死亡率が高い原因の一つにもなっています。また、日本のように妊婦健診を定期的に受けることが難しく、国で定められている回数も最低5回以上となっており、異常の早期発見ができずにハイリスク妊娠に気付かず死産や母子ともに死亡するケースもあります。日本では普通に行われる超音波健診も機材がない田舎の村では受けられず、また値段も高いため、妊婦の間では普及していませんでした。しかし今回相模原橋本ロータリークラブおよびダンリロータリークラブが実施する”安全なお産支援プロジェクト”により、サンタ・マリアにも2017年5月から超音波診断装置が導入されました。妊産婦がより安全な周産期を過ごせるよう、超音波診断装置を使った超音波健診を普及させ、母子死亡率を下げることが最終目標です。導入後遠方からの妊婦の来院もあることから、徐々に浸透していることが実感としてあります。今後は遠方へのプロモーションを活動に取り入れ、安全で安心な妊娠期を過ごせるよう援助していきたいと考えています。

小学校で衛生教育の事業
小学校で衛生教育の事業

高校で性に関するアンケート、学生と意見交換
高校で性に関するアンケート、学生と意見交換

また、今私が活動として力を入れているのが性教育です。前述したように若年妊娠が多く、その原因には就学率の低さがあります。小学校を卒業できないものも多く、その背景には貧困などの文化的・社会的要因が強くあります。教育を受けることができない=性教育を受けられないこととなり、自分の体のこと、家族計画のことなど、様々な性に関する知識を得ることが出来ないまま妊娠し一生を送る若年者が非常に多いです。それが貧困の負の連鎖にも関与し、国全体の問題と繋がっていると考えています。そんな若年者に対し性教育をすることで自分の体、心のことを考えることが出来るとともに、将来について現実的に考える機会を与えることが出来るのではないかと思い活動を始めました。性に関することだけでなく、自分の未来について考え行動ができるようになることで、ホンジュラスの未来が子どもたちの力によって少しでも明るくなればいいなと考えています。

私に出来ることはほんとに些細なことではありますが、それを見てくれる子どもたちが少しでも明るい未来を築く方法を導き出せればいいなと思いながら、今後も活動を続けていきたいと思います。