信頼の絆が未来をつくる メティラ事務所 ティン・ス・ス・トゥウェ

2026/05/26

アムダマインズは、ミャンマーの農村部で「生計向上プロジェクト」を実施し、人々の生活に寄り添い続けています。今回は、勤続10年を超えるベテランスタッフによる活動記録をお届けします。

 
 
▍自己紹介

私はメティラ事務所のティン・ス・ス・トゥウェ(Thin Su Su Htwe)と申します。マンダレー地域のメティラ郡で生まれ育ち、地元のコンピュータ研究大学で修士号を取得しました。現在は両親と、少し体が弱い妹と一緒に暮らしています。
 
私の1週間のスケジュールはとてもシンプルです。月曜から金曜は仕事をし、週末は自宅の庭に植えた木々に水やりをして過ごします。植物が育ち、鮮やかな緑に変わっていく景色を眺めることは、私にとって大きな喜びです。

 
 
▍仕事の日常

プロジェクトでは、融資担当として働いています。仕事は、毎朝のミーティングから始まります。活動に参加しているメンバーである住民から聞いた要望や課題、治安状況などの情報をスタッフ間で共有し、その日の村への訪問に向けた準備をします。持参する必要書類などに漏れがないよう、前日のうちに準備を整えておくことを心がけています。
 
村への訪問は、基本的にはバイクを使用します。遠方や治安に懸念のある地域を訪問する際は、車を使うこともあります。安全のため、スタッフは常に男女のペアで行動します。時間の許す限り、お弁当を持参して村で食事をとります。オフィスに戻った後は、現金の入金処理などを行い、書類を整理して翌日の訪問に向けた準備をします。

  • メンバーからの返済日(左:筆者)
  • 融資で花卉栽培に取り組むメンバーの圃場にて

▍なぜ「マイクロファイナンス」だったのか

大学卒業後、メティラ事務所のボランティアとして村々を回り、メンバー世帯の情報を聞き取って整理するという作業を担当したのですが、この経験が私の人生を変えました。母校で教職に就くことも検討していたのですが、それは自分が情熱をそそげることではないと気づかされたのです。
 
その後、ホテルで少し働いた経験からも、「一人を豊かにするために働くのではなく、もっと多くの人々を支えるために自分の力を使いたい」と痛感。ボランティアの時に感じた「知識を共有し、支える喜び」こそが、私の進むべき道だと確信し、スタッフとしてプロジェクトに参加することを決めました。いまの仕事は、当初の期待に沿うものだと思っています。

 
 
▍大切なのは信頼関係

私たちは定期的に村を訪問して、融資のやりとりをしています。しかし、私たちの役割はそれだけではありません。メンバーの苦労話や成功体験、健康の悩みにまで耳を傾けます。心から関心を持って相手の話を聞くことで、強い信頼関係が生まれます。また、融資の申し込みや返済の手順などを分かりやすく説明し、約束したことは必ず守ります。こうして信用を得ていくことが、私たちの仕事に最も大切なことです。
 
2020年からのコロナ禍や社会情勢の不安定化により、一時は返済が滞るケースもありました。しかし、日頃から築いてきた「顔の見える信頼関係」があったからこそ、多くのメンバーが再び前を向き、規律ある生活に戻ることができました。私たちが大切にしている「深い絆」こそ、メンバーの皆さんが私たちの活動を支え続けてくれる理由だと思います。

  • 養豚に取り組むキン・ニョー・イーさんと(メー・ザリ・ピン村)
  • 融資グループのリーダー、ソー・イーさんと(ヌワ・サン・タウン村)

▍忘れられない出会い:苦難を乗り越えたタン・ヌウェさん

10年以上のキャリアの中で、心に残っているメンバーはたくさんいます。なかでも特に印象深いのは、2002年から継続して参加してくれているタン・ヌウェさんです。
 
彼女は長年、村のグループリーダーとして他のメンバーを牽引してくれる存在でしたが、2018年、家族の不幸により返済が困難な状況に陥りました。そんな苦境にあっても、彼女は決して嘘をつかず、常に正直に状況を話してくれました。私は彼女の誠実さを信じ、融資額や返済スケジュールを調整しつつ支援を継続。その結果、彼女は見事に立ち直り、融資の完済も果たしました。今では村で衣類の行商をして生計を立てながら、子どもたちと一緒に穏やかに暮らしています。最も苦しい時期でさえ、自分だけでなく周りのメンバーも励まし続けてくれた彼女の強さを、私は今でも忘れることができません。

 
 
▍支援者の皆さまへ

私たちと同様、マイクロファイナンスに取り組む組織はみな、メンバーがビジネスを開始・拡大できるよう、必要な資金を融資しています。それ以外にも、農業や畜産、小規模ビジネスを通じて、自分のお金を適切に管理することができるよう、研修の機会を提供してきました。メンバーの生活水準は、目にみえる形で向上してきています。メティラ郡では多くのマイクロファイナンス機関が活動していますが、私たちは比類のない存在だと自負しています。それは、メンバーとスタッフとが長年かけて築き上げてきた「信頼」があるからです。

 

皆様のご支援は、メンバーの経済的な状況を改善するだけでなく、その家族の教育や健康を支える大きな力となっています。私たちと共に歩んでくださり、心から感謝しています。

 
 

この記事を書いたのは
Thin Su Su Htwe
メティラ事務所 上級融資担当オフィサー


コンピュータ研究大学卒業。地元のホテルで経理担当として勤務した後、2014年7月にアムダマインズへ入職。融資担当者として生計向上プロジェクトに携わる。趣味は読書。メティラ郡出身。

 
 


 
 

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